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第1部   我が国科学技術の国際化に向けて
第4章  我が国科学技術の国際化へ向けての課題と展望
2.  国際化時代にふさわしい科学技術推進体制の確立


科学技術の国際化のためには,我が国の科学技術力を国際的に評価されるものにすることとともに,国際化時代にふさわしい科学技術推進体制を確立することが必要である。

まず,国内体制の整備の面では,現在,我が国では様々な形で,開かれた国内体制の整備を目指した施策を推進している。このうち,研究者の受入れや研究交流の促進の面では,従来より研究開発の高度化や学際・業際領域の研究開発の拡大等を背景として,各研究組織の枠を超えた研究開発体制の整備が図られてきたところである。さらに1986年度には,「研究交流促進法」の制定により,国立試験研究機関のハイレベルの研究公務員にまで外国人研究者を登用することが可能になるなど,従前にも増して国内的・国際的に開かれた研究開発体制作りのための施策がとられているところである。また,情報交流の面でも,大学や国立試験研究機関において,研究成果の積極的公表等が行われている一方,国際的な情報ネットワークへの参加,英文データベース化等の情報交流促進のための所要の措置も講じられつつある。

このように,我が国の科学技術の構造は,基本的に国際的に開かれた仕組みになっており,かつまた,国際化のための施策の充実が図られつつあるが,今後とも一層,諸制度の充実を図っていくことが必要と考えられる。

一方,国際化の視点の中で,研究者の交流は極めて重要である。一般的に,研究者の交流は,当該国の科学技術に魅力を感じ,そこでの研究や勉学を通して有益なものを学びたいという意識に基づいたもので,ほとんどは研究者個人の自主的判断で進められているものである。我が国の研究者交流が特に対欧米先進国で派遣過剰となっていることは,我が国の研究者が欧米の科学技術力を評価していることのあらわれとみることができる。我が国から欧米先進国へ行った研究者の中には,いわゆる頭脳流出と称される国際的に評価の高い研究者を含んだ優秀な研究者も多く,これらの研究者が欧米の科学技術力の向上に貢献してきたとみることもできる。一部では,我が国の研究者交流が,特に欧米先進国に対して派遣過剰となっていることに対し,我が国の閉鎖性を指摘する声もあるが,問題はむしろ,諸外国が我が国の研究環境,科学技術等に魅力を感じ,日本に来て学びたいという意識をもつかどうかである。かかる観点からも,前項で示したように国際的に評価される我が国の研究環境や科学技術水準の向上と維持に努めることが必要である。加えて,科学技術先進国の1つとして欧米諸国と肩を並べるまでに至った今,研究者交流の充実を図り,諸外国からの研究者受入れの拡大にこたえていくことが必要である。特に,研究者受入れの面では,研究環境の改善に加えて,研究機関情報の提供,外国人研究者用宿舎の整備等に努める必要があると考えられる。

この他,研究開発の基盤となる施設・設備については,近時,研究開発の高度化・複雑化に伴い,大規模でかつ高度な施設・設備の整備が必要となっている。このような施設・設備は産・学・官だけでなく,国際的にも開かれた形で利用に供することが望ましく,このような施設・設備の設置,利用等に当たっては,かかる観点からの配慮が必要であると考えられる。

さらに,国際会議の国内開催は,国内の数多くの研究者に海外の研究者との接触の機会を与えるものであり,また,海外の研究者には,日本を訪れ日本の科学技術に直接触れる機会を与えるものであって,我が国科学技術の国際化に資するところが極めて大きいと思われる。我が国には地理的に不利な面があるものの,科学技術力の向上,会議開催に関連した各種サービスの充実等会議開催のための誘引策の強化を図りつつ,国際会議の国内開催の促進に努めることが望まれる。

なお,日本の体制が閉鎖的だとする諸外国からの指摘の多くは,言葉の違いや生活環境面でのなじみにくさ等,日本の社会そのものの問題であるという側面を有しており,最終的には社会全体の国際化の推進を通して,これらの問題の解決が図られていくという性格を有している点にも留意する必要があろう。


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