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第1部   我が国科学技術の国際化に向けて
第4章  我が国科学技術の国際化へ向けての課題と展望
1.  国際的に高く評価される科学技術力の実現


我が国科学技術の国際化へ向けての第1の課題は,基礎的研究の一層の強化等を通じ,我が国科学技術の水準の向上に努め,海外の研究者が日本での研究活動を積極的に望むような,国際的に高く評価される科学技術力の実現を目指すことである。先にも記述したように,民間動向調査においても,国際化を図る上で国際的に評価される成果の産出が重要視されており,国際的に評価される科学技術力をつけることが基本であるという考え方を支持する結果となっている。最近,米国MITの利根川教授が日本人として初めてノーベル医学・生理学賞を受賞し,国際社会の中での日本人研究者の活躍が認められた点で大いに評価されるべきであるが,日本が真に国際化したといえるためには,外国人研究者が日本で研究を行い,その成果によりノーベル賞の受賞等国際的な評価を得るまでに至る必要があろう。

国際的な評価を高める上で,公共財的性格を有した基礎的研究の成果を輩出し,この面で我が国の貢献度を高めることは最も重要である。近年,我が国では,基礎的研究の強化を図りつつあるところであり,民間企業においても,企業原理に基づき基礎的研究の段階から自らの手で積極的に研究開発を行っていこうとする動きが出てきている。国際的な公共財ともいえるような基礎的・先導的研究の強化が特に求められている今日の状況から,国立試験研究機関においては,「国立試験研究機関の中長期的あり方について」(科学技術会議第13号答申,昭和62年8月)に沿い,研究活動を効果的・効率的に展開し,今後一層,新たな技術シーズの創出等を目指した基礎的・先導的研究を強化していくことが必要である。また,基礎研究の中心的担い手である大学については,臨時教育審議会答申及び「教育改革に関する当面の具体的方策について一教育改革推進大綱一」(昭和62年10月6日閣議決定)に沿い,独創的,先端的な基礎研究の発展等のため,諸施策の推進等に努めることが必要である。このような基礎的研究の強化のため,今後とも,民間企業における基礎的研究投資の拡大に期待するとともに,国の研究開発投資の一層の充実,産・学・官の連携強化,共同研究の促進等を通じ,基礎的研究に対する国全体の研究開発投資の拡充に努めることが重要である。

また,近年増加傾向にある国際共同研究は,各国の優れた科学技術力を結集して共通の問題に取り組もうとするものであり,その積極的推進は,我が国科学技術の水準を高める上で大きな役割を果たすものと考えられる。我が国は,現在,他国との国際共同研究に多数参加しており,今後ともその拡充を図りつつ,自らが世界をリードしていく立場からの貢献が重要である。

さらに,我が国の科学技術力が国際的に高い評価を受けるためには,特に独創的基礎研究を生み出しやすい環境の整備も重要である。個人主義の長い伝統を持つ欧米諸国では,違った個性がぶつかりあい,異質との対話の中から独創的な成果が生み出される環境が歴史的に根付いている。今後の我が国は,海外の研究者との交流の拡大により,違った個性との接触機会の増大を図り,競争的,協調的研究環境の中から,これまでの我が国にないものを生み出していくことが期待される。

一方,科学技術を含む我が国の文化は,東西文化の接点でこれらを融合した総合的文化といえ,個よりも全体を考える東洋的な思想がその根底には流れている。このような諸外国とは違う文化基盤にある我が国の特色ある優れた科学技術の発展を基本としつつ,諸外国の科学・文化との接触等を通じて世界の科学技術の向上に大きく貢献していくことも,科学技術の国際化を図る上で重要であると考えられる。

なお,独創的な芽を見い出し,育てていくのに適した,実効性,継続性,柔軟性及び透明性のある研究評価システムの構築,運用を進めていく必要がある。


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