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第1部   我が国科学技術の国際化に向けて
第3章  我が国科学技術の国際化の現状
(4)  情報交流


我が国の科学技術力の向上に伴い,諸外国から日本の科学技術情報に対するニーズは高まってきており,研究者交流と並んで科学技術の国際化を推進する上で重要な要素の1つとなってきている。

ここでは,国立試験研究機関等や民間企業の情報交流の現状について探ってみる。

1) まず,科学技術庁所管の国立試験研究機関等を例に諸外国への情報提供について,科学技術庁が実施した調査結果によりその動向をみる。

研究機関等としての情報提供をみると,研究結果に関する情報の海外への提供については,ルーティン化して実施している研究機関等が11機関中4機関であり,残りは要請を受けて情報提供を行っている。

昭和61年度中に発刊した研究結果に関する刊行物の海外への提供状況 については,全体の約70%が外国語による刊行物となっており,国外へ の提供地域としては,欧州が最も多く(全体の60%),これに北米(同24 %)が続いている。また,提供先としては,政府機関(全体の55%)が 最も多く,大学(同31%)がこれに続いている ( 第1-3-10図 )。 さらに,論文掲載数は,全体で1,256編であり,そのうち60%が外国語によるものとなっている。

第1-3-10図 研究機関等における刊行物の国外提供状況 Proportion of research-related papers or publlcations distributed or provided by Japanese R& D organizations to foreign countries

次に,研究者個人の研究成果に関する情報の提供状況をみると,情報提供の手段としては,学会誌及び専門誌への投稿が中心となっており,全体の54%が外国語による論文となっている ( 第1-3-11図 )。

2) 民間動向調査により,民間企業における技術情報交流の現状と課題について,その動向をみてみる ( 第1-3-12図 )。

企業における技術情報の入手手段をみると,海外からは専門論文誌を通しての情報の入手が最も多くなっており,次いで一般出版物,特許情報からの入手の順となっている。国内の技術情報の入手手段としては,海外と同様,専門論文誌を通しての情報入手が最も多く,次いで学会等出席,特許情報からの入手の順となっている。

第1-3-11図 研究機関等からの個別研究成果に関する情報の提供手段 Media used by research organizations for disseminating information on individual research results

第1-3-12図 企業における技術交流の現状 Current status of technological exchanges by private companies (1)技術情報入手手段 Means for obtaining technological informatiion

(2)海外技術情報入手に当たっての制約 Restraints in obtaining overseas technologica1 information (3)企業の海外への情報提供に対する意識 Attitudes of private companies toward supplying information to overseas

また,海外から技術情報を入手する場合の制約については,「以前と変わりなく入手可」とする答えが最も多くなっているものの,「クロスライセンス等の見返りが不可欠」と考えている企業も全体の約1/3となっており,外国からの技術情報入手のためには自らも技術をもつことが求められつつあることをうかがうことができる。

なお,海外への技術情報の提供について,我が国の場合,企業原理に基づき,企業の私的財としての技術情報は特許化を通じて公開情報化されているとの一面もみられるが,企業が全体としてどのような方針を持っているかをみると,一般的には約40%強の企業が海外への技術情報の「提供に積極的」であるとしている一方,約50%強の企業は「技術情報の提供に消極的」であると答えている。

3) このような状況の中で,我が国における科学技術情報に関する中枢機関である日本科学技術情報センター(JICST)は,世界各国から収集した文献情報を処理してデータベース化(昭和61年度の収録件数は52万件)し,JICSTオンライン情報システムによるオンライン情報提供サービスを実施している。また,JICSTでは海外からのニーズに対応するため,昭和60年度より国内文献の英文データベースを作成し,昭和61年度より上記日本語のデータベースとともに,海外ヘオンライン提供を開始し,昭和62年8月現在,米国,西ドイツ,フランス,イギリス,カナダ,フィンランド及び韓国の7か国に科学技術情報をオンライン提供している。

また,昭和61年度にJICSTは米国のケミカル・アブストラクト・サービス,西ドイツのフィッツ・カールスルーエとの間で,国際的なオンラインネットワークである国際科学技術情報ネットワーク(STN international)の構築・運用に関する契約に調印した。これは,日本,米国,西ドイツの三機関の共同運営により昭和62年度よりサービスを開始する国際協力事業であり,これにより我が国の研究者等が欧米の科学技術情報を利用しやすくなるばかりでなく,海外から我が国の科学技術情報の利用が容易となり,国際的な情報流通の促進につながる。

さらに,JICSTはASCA (アジア科学協力連合)諸国等に対する科学技術協力事業の推進に寄与するため,これら諸国がら要求のあるエネルギー,農業等の分野についての国内文献の抄録等を英文で作成し,抄録の形で提供している。

なお,JICSTでデータベース化し,処理した52万件(61年度)の文献のうち,国内文献の言語別内訳をみると,英語による文献の国内文献全体に占める比率は,昭和60年度の9.7%から昭和61年度の11.7%へと増加している。

さらに,JICSTでは,海外向け英文データベース作成のため,実用規模機械翻訳システム開発にも着手し,これからの国際化時代の対応に備えている。


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