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第1部   我が国科学技術の国際化に向けて
第2章  世界の科学技術を巡る新しい潮流
1.  多極化傾向の中で相互依存性を高めつつある世界の科学技術
(2)  米国産業の競争力強化への動き


レーガン大統領は1987年1月,1988年「一般教書」の中で,科学技術への投資の重要性を説き,21世紀へ立ち向かうための具体的な科学技術投資計画を打ち出した。この一般教書においては,「・・・・・・アメリカが競争力を失いつつあることが広く指摘されている。しかし今,われわれが行動すれば,そうした事態が生じることはない。わたしの生涯の間に,アメリカは世界に対し模範を示した。次の世紀に向けても,われわれは歴史に類をみない卓越性を携えて踏み入ると決断すべき時である。・・・・・・」とされており,アメリカの競争力強化を目指したレーガン大統領の決意がうかがえる内容となっている。

近年の米国の工業製品貿易収支をみると,1982年から赤字基調に転じており ( 第1-2-1図 ), ハイテク製品だけをみても,年々黒字幅が大幅に減少してきている ( 第1-2-2図 ) という状況にはあるものの,米国の科学技術力は,第1章でもみたように依然として圧倒的にレベルの高いものであり,さらに一層の科学技術力の強化に向けて,現在新しい施策がとられつつある。

第1-2-1図 米国の商品貿易収支の推移 Change in the balance of commodity trades of the United States

第1-2-2図 米国の工業製品貿易収支のハイテク・非ハイテク 別推移 Change in the trade balance of industrial products of the United States,both for ″high tech- no1ogy″products and ″non-high techno1ogy" products


〈科学技術力強化への動き〉

米国の競争力強化への動きについて,「一般教書」の中から,科学技術政策に関連する主なものを見てみる。

第1は,大学における研究を強化するため,大学に基礎研究に重点を置く学際的なセンターとして科学技術センターを設立しようとするものである。

第2は,基礎研究を重視するために,大学等の基礎研究に対する補助金の交付等を行っているNSF (全米科学財団)の研究開発予算を5年間で倍増することである。

第3は,諸外国の科学技術活動を的確に把握し,これらに関する情報を迅速に入手するため,在外米国公館への科学者や技術者の派遣等により,外国の科学技術情報の収集を活発化することである。なお,この関連では,1986年に特に日本の科学技術文献をより広く米企業や研究者の利用に供することを目的とした「日本技術文献法」が成立している。

第4は,知的所有権の保護強化策である。

以上の4つの施策を主軸に,最近の米国の科学技術力強化策が展開されている。

一方,1985年1月の大統領競争力委員会報告(ヤング・レポート)及び1986年秋フークァ委員長から明らかにされた下院科学技術委員会の「科学技術タスクフォース」のドラフト等からも,米国の競争力強化を目的とした内容をうかがうことができる。

1987年2月には,このような「一般教書」の内容を具体化するものとして,米国の国際競争力向上を目指し,外国の不公正貿易への対応措置を強化することを図った「1987年貿易・雇用・生産性法」案がまとめられ,議会に提出された。

一方,近年の科学技術の進歩を背景とし,1983年3月,非核の防御システムである米戦略防衛構想(SDI)が打ち出され,各国に対し参加招請がなされており,我が国は,1987年7月に,SDI研究への日本の企業等の参加を円滑にするための枠組みを定めた日米政府間協定を締結した。

また,レーガン大統領は,最近では,超電導技術の商業化を促進するための「超電導開発構想」を発表し,産・学・官共同の体制により超電導開発の面で世界をリードしていく意向を表明している。

一方,米国議会においては,上下両院で包括貿易法案の審議が進められてきたが,下院では1987年4月に「87年貿易・国際経済政策改革法案(H.R.3)」が,また上院では同年7月に「87年包括貿易・競争力法案(S.1420)」がそれぞれ本会議で可決された。これらの法案は,知的所有権の保護強化,外国からの投資規制等の条項を含んでおり,現在,両院協議会で両法案の調整が行われている。


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