ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   我が国科学技術の国際化に向けて
第1章  国際社会の中で新しい地歩を占めつつある我が国の科学技術
(2)  研究成果面を中心にみた我が国の科学技術の動向
  〈研究論文〉


まず,先端科学技術分野の課題を中心に,代表的な国際的科学雑誌に採択された論文数について,日本科学技術情報センター(JICST)のJICST科学技術文献ファイルから検索を行い,各国比較および経年比較として表したのが 第1-1-14図 である。

ここで取り上げた課題は「超電導」,「オプトエレクトロニクス」,「クォーク」,「がん遺伝子」の4課題であるが,いずれの課題も各年を通して米国が圧倒的な論文の産出量を誇っていることがわがる。

ここで検索の対象とした学術雑誌は,いずれも各分野の専門家にとって評価の高い国際学術論文誌であり,これら先端科学技術分野における米国の強さがあらわれているものと思われる。

一方,我が国についてみてみると,物質・材料分野の「超電導」については,近年,採択論文数が増大傾向にあり,特に1986年には西ドイツを追い越し,米国に次いで世界第2位になるなど,この分野での近年の我が国の論文数の増加が目立っている。また,組織別にみると,いずれの国も大学からの成果が多くなっている。我が国も過半数を大学からの論文が占めているものの,1986年には民間企業の論文が急増しているのも最近の特徴である。

次に情報・電子分野の「オプトエレクトロニクス」については,いずれの年においても我が国は米国に次いでおり,一般的に言われているこの分野の我が国のポテンシャルの高さを裏付けている。

第1-1-14図 先端科学技術分野における主要専門誌掲載論文数 Comparison by country and by type of institutions in the number of papers published in major scientific and technical journals


また,この課題については,共同研究が非常に少なくなっているのが特徴であり,実用化に近い課題であることを背景にして単独の組織で研究開発が行われている傾向が読みとれる。

次に純粋基礎科学分野として「クォーク」については,我が国は,米国を別格とすると,イギリス,フランス,並みの論文数となっているが,西ドイツよりは少なく,欧州の伝統をうかがうことができる。各国とも大学からの成果が概ね過半数を占めており,国際共同研究を中心とした共同研究の割合も多くなっている。

ライフサイエンス分野の「がん遺伝子」については,米国の圧倒的な優位性が特に強く出ている課題である。我が国からは「がん遺伝子」関連で1986年にかなりの研究成果が出ており世界第2位となっているが,米国との差は非常に多きい。また米国では,1981年から1984年にかけて論文数が10倍に拡大しており,この間にがん遣伝子の研究が進み,研究成果が飛躍的に増大したことを示している。

このように,研究論文の面では,我が国の論文数は米国と比較するとまだまだ低いながら,年々増大の傾向を示しており,特に先端科学技術分野の「超電導」や「オプトエレクトロニクス」では,国際的にかなりのウエイトを占めてきていることがわかる。

次に,世界の主要な学術雑誌に掲載された研究論文を我が国を含む先進7か国間の国際比較でみると,1985年現在で,我が国の大学や研究所等の研究者による研究論文数は理学,工学,医学に及ぶほとんどの先端的研究諸分野において,米国についで2位か,または,米国,ソ連両国についで3位となっている。また,我が国の場合,1976年から85年までの10年間の論文数の増加割合が著しく,7か国中,最大の伸びを示しており,7か国間での順位もほとんどの研究分野で上がっている ( 第1-1-15表(1) )。

第1-1-15表 雑誌論文の掲載数及び被引用数の比較 Comparison of numbers of papers published in scientific journals and of those cited by other authors (1)世界の主要学術雑誌の掲載論文数の国際比較 International comparison in the number of papers published in the world's major scientific journals

(2)主要国別の雑誌論文の被引用数比率の推移 change in the proportion of papers cited by other authors in artiCles published in scientific jourmals.

一方,雑誌論文の被引用数については, 第1-1-15表(2) に示すように1982年で2.5%と日本研究者の論文の被引用数比率はまだ低い水準にあるが最近堅調な伸びを示しており,研究論文の質の点でも少しずつ評価が高くなりつつあることがわかる。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ