ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   我が国科学技術の国際化に向けて
第1章  国際社会の中で新しい地歩を占めつつある我が国の科学技術
(1)  研究投入面を中心にみた我が国の科学技術の動向
  〈最近の企業進出の動向〉


積極的な研究開発投資を背景に我が国企業は着実に産業技術を進展させてきたが,このような中で,最近,外国企業が日本において研究開発拠点を設置する動きがある。

第1-1-11表 は,昭和62〜64年に日本に工場を設立予定の外資系企業数を示したものであるが,総設立数68件のうち約1/3が研究開発設備の新設を伴っており,単なる情報収集拠点や生産拠点だけではなく,かなり高い比率で研究開発拠点の整備が進んでいるものと思われる。業種別では,化学,医薬品工業において,最も研究開発拠点化の動きが目立っている。

これらの動きは,日本を単に市場としてみるだけでなく,技術水準の高くなった日本を評価し,日本における研究開発活動に諸外国が魅力を感じていることを表していると思われる。

日本の技術に対する信頼性を示すものとして,最近の我が国のOEM(相手先商標製品)輸出の動向を通商産業省「我が国企業の海外活動に関するアンケート調査」でみると,「海外からの強い要請のため」にOEM輸出を行うという企業が多く,このことからも日本企業の製造技術に対する高い評価があらわれているものと考えられる。

第1-1-11表 62〜64年稼働計画の外資系企業の工場設備等件数 Nufnber of facilities of foreign capital companies tp be operating in Japan in 1987-1989 (including those of U.S.-capital companies)

このような,最近の外国企業の動きに対し,最近の円高環境下で,我が国企業の海外進出も拡大している。

最近の海外進出の動向について,民間動向調査の結果をみると,第3章で詳述しているように,生産拠点の海外進出については,積極的な企業と極めて消極的な企業に大きく分れる傾向が見られ,通信・電子・電気計測器工業,自動車工業等の業種には積極的な企業が,また,鉄鋼業,窯業,食品工業等の業種には消極的な企業が多いことがわかる。一方,研究開発拠点の進出については,実績も少なく,今後とも日本を中心とした展開を考えていることがわかる。

海外直接投資の誘因について,経済企画庁の「昭和61年度企業行動に関するアンケート調査」でみると,「円高による競争力低下」あるいは「輸入規制があるために投資をする」という企業の比率が,.今後増えるという傾向がみられる。

このような結果を総合すると,ハイテク分野の業種を中心に円高等を背景とした企業の海外進出が盛んになってきており,一部で懸念されている生産拠点の海外進出に伴う研究開発能力低下に対する問題意識についても,民間動向調査の結果をみてみると,「国内の技術連鎖に悪影響が出るため,結果的に研究開発能力が低下する可能性がある」と考えている企業は全体の9%と少ない比率になっている。

なお,研究開発拠点の海外進出については,海外のニーズを的確にとらえた研究を行うことを主目的としている企業が多いという結果が得られているが,一方,主要な研究開発拠点については日本に置くべきとする企業が6割以上を占めており,国内研究開発能力の維持にも配慮している企業の姿勢をうかがうことができる。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ