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第1部   我が国科学技術の国際化に向けて
第1章  国際社会の中で新しい地歩を占めつつある我が国の科学技術
(1)  研究投入面を中心にみた我が国の科学技術の動向
  〈民間企業を中心とした積極的な研究開発投資〉


研究費の国際比較には種々の差異があり,単純比較は難しいが,おおよその傾向として国全体の研究費の面で我が国の変遷をたどってみると,1955年には,日本,米国,西ドイツ,フランス,イギリス,ソ連の主要6か国中最低であり,6か国全体の中の約1%のシェアを占めるにすぎなかったものが,1975年には6か国中の第4位,全体の約10%のシェアを占めるようになり,1985年には米国に次いで自由世界第2位,6か国中のシェアでも約16%を占めるに至っている ( 第1-1-1図 )。

特に我が国では,民間の研究投資額が大きく,1985年における日本の総研究費の約8割を占めており,各国の統計をベースにすると,日本,米国,西ドイツ,フランス,イギリスの主要5か国の民間研究投資総額の中で1975年には19.0%,1985年には26%を占めるに至っている ( 1-1-2図 )。 我が国企業が産業技術面で急速な発展を遂げてきた背景として,このような積極的な研究開発投資を指摘することができよう。

第1-1-1図 主要国の研究費の推移 Change in R&D expenditures in major industrial nations(including USA,Japan,USSR, FRG,France and UK)

最近の研究開発投資動向について,科学技術庁が昭和62年5月に民間企業1,186社(有効回答750社)に対して行った「昭和62年度民間企業の研究活動に関する調査」(以下「民間動向調査」という)によると,昭和60年度から昭和61年度にかけての円高の影響で売上高の減少があったにもかかわらず,大部分の企業で高い研究開発投資の伸びが維持されており,特に通信・電子・電気計測器工業,電気機械器具工業,医薬品工業等の業種でその傾向が著しいことがわかる。また,これに伴い,売上高に対する研究開発費の占める比率も全業種平均で昭和60年度2.5%から61年度2.9%と大幅に上昇し,医薬品工業,通信・電子・電気計測器工業等の業種では,ひきつづき高い水準を維持している ( 第1-1-3図 )。

第1-1-2図 主要5カ国の民間研究費総額に占める各国のシェア Proportion of each country′s share in the combined total private sector R&D expenditures of the five major industrial nations

第1-1-3図 民間企業の61年度売上高及び研究開発費の対前年 度伸び率等 Gross sales of privhte industry in FY′86 and their yearly growth rates in R&D expenditures Over proceding fiscal years

このように,最近の研究開発投資動向はまさに,企業の生き残り戦略の中で積極的な研究開発による展開が極めて重視されていることを示していると思われる。昭和62年度の日本開発銀行設備投資計画調査によると ( 第1-1-4図 ), 製造業の投資動機に占める「研究開発」の割合は,年々増加しており(昭和61年度12.9%,昭和62年度14.4%),このことからも研究開発を重視する企業戦略がうかがえる。企業では,積極的な研究開発を手段として,自らの基盤とする産業分野の上流・下流への拡大,まったく新しい分野への挑戦を通じ,多角化を図りつつ,付加価値の高い分野への進出を図っているものと考えられる。

第1-1-4図 製造業の投資動機の時系列推移 Time-series change  in factors motivating investment in manufacturing industry

企業の積極的な研究開発投資は,活発化する企業の研究所設立の動きからもうかがえる。

第1-1-5図 は,年度毎の企業の研究所設立数を示したものであるが,昭和30年代後半のいわゆる「中央研究所ブーム」に次いで,ここ数年,前回以上の研究所設立ブームがうかがえる。

第1-1-5図 企業研究所設立の長期的推移 Long-term change in the number of research institutes estab11shed in given years by private companies

最近の研究所は,基礎的研究とか,特別な目的に特化した専門的研究とか使命のはっきりしたものが多く,企業にとっての初めての研究所の設立という面が濃かった前回とは対称をなしており,企業の研究開発を重視する姿勢をあらわしているものと考えられる。

第1-1-6表 業種別研究費の推移 Change in R&D expenditures by industry


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