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第3部   政府の施策
第2章  政府機関などにおける研究活動の推進
6  多分野の協力による研究開発の推進
(3)  宇宙開発


(1)宇宙開発は,科学観測,通信,放送,気象観測を始めとして,資源探査や環境保全等のための地球観測,船舶等の航行等の広範な分野において人工衛星等の開発利用が進められており,日常生活の中で重要な役割を果たすようになっている。 また,微小重力,高真空といった宇宙空間の特殊な環境を利用して新材料等の研究開発などを行う宇宙環境利用という新たな分野においても,米国,日本,ESA,カナダの国際協力による宇宙ステーション計画により,世界的な取組みがなされつつある等宇宙開発は,人類に新たな活動領域をもたらすものとして,ますますその重要性は高まっている。
(2)我が国の宇宙開発は,宇宙開発委員会が昭和53年3月策定し,昭和59年2月改訂した「宇宙開発政策大綱」に示されている長期的指針及びそれに沿って毎年度同委員会が定める「宇宙開発計画」に従い,宇宙開発事業団,文部省宇宙科学研究所を中心とする関係機関の協力の下に推進されている。
第3-2-14表 我が国の人工衛星打上げ実績及び計画




第3-2-15表 我が国のロケット開発実績及び計画


具体的には,我が国の人工衛星及びロケットの開発は,科学研究の分野については文部省宇宙科学研究所が,実利用の分野については宇宙開発事業団がそれぞれ担当しており,昭和45年に試験衛星「おおすみ」を打ち上げて以来,昭和61年3月までに33個の人工衛星を打ち上げている。 我が国における衛星及びロケットの開発実績並びに今後の開発計画を 第3-2-14表 , 第3-2-15表 に示す。 昭和60年度における活動は次のとおりである。
(イ)科学研究の分野については,昭和53年9月に打ち上げた第6号科学衛星「じきけん」,昭和54年2月に打ち上げた第4号科学衛星「はくちょう」,昭和56年2月に打ち上げた第7号科学衛星「ひのとり」,昭和58年2月に打ち上げた第8号科学衛星「てんま」及び昭和59年2月に打ち上げた第9号科学衛星「おおぞら」によりX線星等の観測を行った。また,M-3SIIロケット1号機の飛しょう性能の確認を行うとともに惑星間軌道達成とこれに関連した姿勢制御,超遠距離通信等の技術を習得することを目的として昭和60年1月に打ち上げた試験惑星探査機「さきがけ」を運用した。また,昭和60年8月,ハレー彗星の観測等を行うことを目的とする第10号科学衛星(PLANET-A)「すいせい」を打ち上げた。このほか,多様なX線天体の精密観測等を目的とする第11号科学衛星(ASTRO一C),地球磁気圏におけるオーロラ粒子の加速機構及びオーロラ発光現象の精密観測等を目的とする第12号科学衛星(EXOS-D),惑星探査に必要となる軌道の精密標定・制御・高効率データ伝送技術等の研究等を行うことを目的とする第13号科学衛星(MUSES-A)の開発を進めた。 また,地球の夜側に存在する長大な磁気圏尾部の構造とダイナミックに関する観測研究を目的とする磁気圏観測衛星(GEOTAIL)の開発研究を行った。
(ロ)観測の分野については,昭和59年8月に静止気象衛星3号「ひまわり3号」を打ち上げ,気象観測を行った。昭和56年8月に打ち上げた静止気象衛星2号「ひまわり2号」及び昭和52年7月に打ち上げた静止気象衛星「ひまわり」については,その管理を行い,必要に応じて試験等を行った。 また,海洋観測衛星1号(MOS-1),静止気象衛星4号(GMS-4)の開発及び地球資源衛星1号(ERS-1)の開発研究を行った。
(ハ)通信の分野では,昭和52年12月に打ち上げた実験用中容量静止通信衛星「さくら」による衛星通信の実験を11月に終了するとともに昭和58年2月に打ち上げた通信衛星2号-a「さくら2号-a」及び昭和58年8月に打ち上げた通信衛星2号-b「さくら2号-b」を非常災害時通信,離島通信,臨時通信等に利用している。 また,昭和59年1月に打ち上げた放送衛星2号-a「ゆり2号-a」によりNHKのテレビジョン放送の難視聴解消等が図られている。 また,昭和61年2月,N-IIロケットにより,放送衛星2号-b(BS-2b)「ゆり2号-b」を打ち上げた。 さらに通信衛星3号(CS-3a,CS-3b)及び放送衛星3号(BS-3a,BS-3b)の開発を行った。
(ニ)宇宙実験の分野では,スペースシャトルに我が国の科学技術者が搭乗し,宇宙空間の特性を利用した材料実験等を目的とする第一次材料実験(FMPT)について,実験システムの開発を行うとともに昭和60年8月,3名の搭乗科学技術者を最終選抜し訓練を行った。
(ホ)宇宙ステーションの分野では,人類に宇宙活動の新たな手段を与え,同時に,国際協力の推進,宇宙技術の発展,産業活動の宇宙への拡大の促進等,重要な意義を有するものである宇宙ステーション計画について,予備設計段階(フェーズB)の作業に参加するため,前年度までの成果を活かし,宇宙ステーション取付型実験モジュールの予備設計を行った。
(ヘ)人工衛星系共通技術の分野では,H-1ロケット試験機の性能確認・静止三軸衛星バスの基盤技術確立及び移動体通信実験等を目的とした技術試験衛星V型(ETS-V)の開発を進めた。
(ト)輸送系共通技術の分野では,文部省宇宙科学研究所が,M-3Sロケットの第2段及び第3段モータの改良,第1段補助ロケットの変更等を行ってM-3SIIロケットを開発し,昭和60年8月第10号科学衛星(PLANET-A)「すいせい」を打ち上げた。また,このM-3SIIロケットを第11号科学衛星(ASTRO-C),第12号科学衛星(EXOS-D)及び第13号科学衛星(MUSES-A)の打上げ用としてさらに開発を進めた。 一方,宇宙開発事業団では,放送衛星2号-b(BS-2b)及び海洋観測衛星1号(MOS-1)の打上げ用としてN-IIロケット(重量約-350kgの静止衛星を打ち上げる能力を有する。)の開発を行った。また,大型衛星打上げ需要に対処するため,液体酸素・液体水素を第2段の推進薬に用い,重量約550kg級の静止衛星を打ち上げる能力を有するH-Iロケットを開発中であり,この一環としてH-Iロケット試験機及び,技術試験衛星V型(ETS-V),通信衛星3号(CS-3a,Cs-3b),放送衛星3号-a(BS-3a),静止気象衛星4号(GMS-4)打上げ用のH-Iロケットの開発を行った。 さらに,1990年代における大型人工衛星打上げ需要に対処するため,H-Iロケットの開発の成果を踏まえ,液体酸素・液体水素エンジンを第1段及び第2段に使用し,これに固体補助ロケット2基を加えた2トン程度の静止衛星打上げ能力を有するH-IIロケットの研究を行った。
(チ)我が国の宇宙関係予算の推移を 第3-2-16表 に示す。

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