ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   人間性豊かな生活環境に向けて
第1章  科学技術の進展と研究開発機能の比重の拡大
2  社会構造における研究開発機能の比重の拡大


戦後,我が国の社会は様々な局面で大きな変化を遂げてきているが,明治以来の近代科学技術を外国から導入し,消化し,これを応用するといった体質から,自ら研究開発を行い新しい技術を創り出そうとする体質への転換もそのひとつとして挙げられる。

まず,研究投資についてみれば,昭和30年度にはわずか401億円(対国民へ所得比0.84%)であったが,昭和45年度には1.2兆円(対国民所得比ではじめて2.0%になった),昭和59年度には約7.2兆円(対国民所得比2.99%)にというように研究開発への投資は年々拡大の一途をたどってきている。

また,昭和30年には自然科学部門の研究を実施する機関がわずか1,445(会社等640,大学等279,国公立研究機関等526)であったのに対し,昭和45年には12,594と15年でほぼ9倍になり,昭和55年には19,618(会社等18,058,大学等633,国公立研究機関等927),を数えるに至る等国内で研究開発を実施する機関が増大している。とりわけ,かつての国公立部門を中心とした構造に対し,研究し,新しいものを産み出していこうとする企業の増加が目覚ましく,また,業種的にもこれまでの製造業を中心とした展開からサービス業部門への拡大もみられる等研究開発機能の社会各般への拡大が進んでいる( 第1-1-3図 )。

他方,研究者,技能者等の研究関係従事者も昭和30年の11,3万人(うち研究本務者2,9万人)から昭和45年には41.9万人(うち研究本務者17.2万人)へ,さらに昭和60年には67.3万人(うち研究本務者38.1万人)と増え( 第1-1-3図 ),「科学技術研究調査報告」における研究実施企業の従業者総数670万人に対して研究関係従事者は6,4%を占めるようになっている。また,通信・電子・電気計測器工業で13.1%)化学工業で13.5%というようにエレクトロニクス,新材料をはじめとする新しい技術開発に力を入,れている業種では10%を超えるものも多くなっている。

特に,近時のFA化,OA化の進展に伴って,企業では,企画,研究開発等の知的部門のウェイトがだんだんと高まってきており,FA化の進んだ企業の中には研究部門2割,開発部門2割というように全従業員の4割強が研究開発関係に従事するものも出始めている。

このように,従業構造全体の中で研究関係従事者の比率が高くなってきており,研究開発活動自体が社会の中でひとつの大きなウェイトを占めるようになってきている。

また,これを都市との関係でみても,産業革命以降,鉱山機械,鉄道,電気,自動車等次々と新しい技術が産れ,これを基にした産業が興り,新しい都市が形成され,同時にこれに対応できなかった都市が衰微してきた。戦後に限ってみても,まず製鉄,アルミ,石油化学等その時点での技術を土台にした産業都市が次々と整備され,その需要が飽和するに従ってこれらの都市の発展力はなくなり,替わってIC等の新技術を土台にしたものが都市の新しい発展を進めてきた。

このように,これまでの技術はその産業化を通じて都市に大きな影響を与えてきたが,昭和40年代からは,我が国では筑波研究学園都市の整備がはじまり,欧米でもノースカロライナ・リサーチ・トライアングル・パーク(米),南イル・ド・フランス(仏)等の研究学園都市整備や各種のサイエンスパーク,リサーチパーク等研究機能そのものを中心にした都市機能の整備が進められるようになり,ビジネス,商業,工業,興業娯楽等のそれまでの都市の発展を支えてきた機能の伸びに比べて,研究開発を軸とする都市機能が大きく躍進するという状況になってきた。

また,こうした動きに関連して,昭和50年代中期からはテクノポリス等にみられるようにこれまでの工場誘致のみの地域整備方式にかえて研究者,技術者の確保,定着化と,誘致工場等が次の時代の技術にも対応できうるよう体質を強化することを目指して生活機能と研究開発機能を併有する形で地域整備が進められるようになり,研究開発が都市機能に占める位置は一層大きくなってきた。

さらに,ここ1〜2年の間に米国,西ドイツ等において企業が大学や研究機関の中で技術シーズを開拓していくことを促進するいわゆる技術のインキュベータ活動が急速に拡大してきている。我が国でも独創的な技術開発のためにはより基礎的なところからのアプローチが必要であること,異分野間の連携需要が高まってきていること等から昭和60年代には,研究開発機能を軸とする新しい都市機能としてだけでなく,既存の都市機能の中におけるこのタイプの研究活動も一層活発化していくものとみられる。

第1-1-3図 研究関係従事者数,研究実施機関数の推移


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ