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  はじめに

科学技術の進歩は,人類の新たな活動領域の開拓やより良い生産方法や生活手段の提供を通じて,経済社会の発展と国民生活の向上に大きな役割を果たしてきた。

これまでの科学技術の進展によって,物質的には国民生活は豊かなものになり,生産技術等も国際的水準に到達し,さらには公害,エネルギー問題等への対応力も向上してきた。その結果,今では,科学技術のシーズそのものの創出力の強化や科学技術を人間と社会との調和のとれた豊かなものにしていくことが求められるようになってきている。

このような状況を踏まえ,政府は本年3月28日,「科学技術政策大綱」を定め,「創造性豊かな科学技術」,「科学技術と人間及び社会との調和ある発展」,「国際性を重視した科学技術の展開」の3つを今後の科学技術政策運営の基本的方針としていくことを明らかにした。

このうち,昨年,一昨年の白書においては,「創造性豊かな科学技術」を中心に分析しており,本白書では,第1部において「科学技術と人間及び社会との調和ある発展」を中心に取り上げることとした。

これまで,科学技術は経済社会の発展と国民生活向上の原動力として様々な局面で豊かさを実現していくとともに現代社会に広く深く根をおろし,今では,生活の中で科学技術と無縁のものはないといっても過言ではないという状況になりつつあり,同時に様々な領域で国民のより高度な要求に応えていく必要性も高まっている。

他方,科学技術はこれまでにも結核対策,食料対策,エネルギー対策等様々な問題を次々と克服し,あるいは公害対策,安全対策等科学技術の社会への適用に伴って生じた問題の克服を図ってきたが,現代では,バイオエシックス,コンピュータ犯罪等の新たな問題が生じており,これらの問題を解決していくことが求められている。

こうした物質的生活の豊かさの実現やバイオエシックス等の新たな問題の登場は,これから人々が追求する人間的な豊かさとはなにか,その豊かさは,経済活動,社会活動,文化活動等を含めた人々の様々な活動に支えられて実現していくものであるが,その中で科学技術はいかに貢献していくべきかを改めて見詰め直す機会を提供しているといえよう。

これからの科学技術は,こうした側面からの検討を加えつつ,時代の新たな要請に応え,また,我々の現在の生活を精神的にもより潤いのあるものにしていくとともに人類の長い将来にわたる福祉と繁栄に資するものにしていく必要があるといえよう。

本白書は,こうした観点に立って,職場や生活の場等人々が科学技術に接するところの多い領域での科学技術の進展の状況と今後,科学技術を人間にとってより豊かなものにしていくに当たっての課題について整理した。

なお,第2部,第3部では例年どおり昭和60年度における科学技術活動の動向及び政府の施策を中心に取りまとめた。


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