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第1部   研究開発の新展開と連携の時代
  むすび

これまでにも科学技術は経済社会発展の原動力として,また,社会的諸問題解決の鍵として各国とも重視してきたが,近時,経済社会の新たな展開と食糧,エネルギーの安定供給の確保等社会的諸活動の安定に向けて各国の科学技術の振興への努力は一層強化され,研究開発に対する能力は,世界的に大きくのびてきている。

他方,国内的に見ても,経済社会の発展と国民生活の向上に対する科学技術の影響力はより大きくなり,また,量から質へという流れの中で企業の競争も一段と厳しくなっていること等から明日こ向けた企業の研究開発投資も活発になり,これを大きな要素として我が国の研究開発活動も着実に伸展を見せている。

こうした流れの中で我が国の科学技術に関係する投資,人材,成果も量的にはかなりの規模になってきているが,全体としてはまだ,次のような諸問題を抱えており,今やその質の向上に向けて新たな展開が必要になっている。

1) 技術の内容面では,現在,国内的に需要の強い部門の技術を中心に国際的にもかなりの水準に達しているものが増えているが,大規模技術,基本的ソフトウェア,基礎的・基盤的技術等,将来の新技術発展の原動力となる部門の科学技術は相対的に弱いままになっている。
2) 研究開発の推進条件の面で見ても,我が国の研究開発は,より先端的なものを求めて,エレクトロニクス,ライフサイエンス,新材料を始め,より基礎的なところからのアプローチや異分野の知識技術との融合の動きが活発化しつつあるが,これに対して,基礎的研究を含めた個人の独創性の発揚,分野や部門を超えた連携協力の促進,遺伝子資源管理等の研究活動基盤の整備等研究開発の新しい動きに対応した諸条件の整備の面で遅れが見られる。

こうした状況の中で,我が国の科学技術については,国民の関心が量的な充足から質的な充足へ,さらには人間性,文化性をも加味したより高次のものへ移りつつあることを踏まえ,幅広い科学技術の知識の形成,蓄積とより緻密で,ソフトで,人間的な技術の開拓が不可欠なものとなってきている。

同時に,国際社会の発展に貢献し得るようなより独創的な新技術を開拓し,国際的に信頼を得られる途を求めていくことが重要となってきている。

これらは,歴史的,文化的にも厚みのある良質の科学技術の知的ストックの形成,蓄積の上に初めてその効果的な展開が可能となるものであり,また,研究者の独創性の涵養と発揮のための環境条件の整備を不可欠のものとしている。

このため,我が国の科学技術政策においては,当面,国全体としての独創的な科学技術の創出力の強化に向けて,次のような対策を講じていくことが必要である。

1) 新技術創出の源泉となる良質の科学技術の知的ストックを形成していくため,まだ,相対的に弱いままになっている公的部門における基礎的研究の強化充実を図る。
2) このような基礎的研究においても,新しい科学技術の創出に向けた牽引力のあるプロジェクト設定や研究の推進形態の整備を図る。
3) 特に我が国の独創的な新技術創出の基盤の醸成の面でも大きな役割を果たすべき国公立試験研究機関等における基礎的研究の強化充実と独創的な新技術創出に向けた研究者の能力発揮のための運営改善を図る。
4) 基礎の裾野の広がり,異分野進出,先端技術の地域への導入等の動きの中で,増大する連携協力需要に応えるため,特に制約が多いといわれる公的部門における技術指導,研究協力等を促進するための環境条件の整備を図る。

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