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第1部   研究開発の新展開と連携の時代
第3章  次の躍進への我が国の課題
2.  革新的な基本技術に向けた牽引力の向上


第1章でも述べたように,我が国の基礎,応用,開発研究への投資バランスはかなり米国に近づきつつあるが,しかし,このような類似の投資構造にありながら,革新的な基本技術の創造という面での成果は,米国に一歩譲っている。

ここで特に問題となるのは,新しい技術の創造を誘発する牽引力の面で差があると見られることである。米国の場合には,年間1〜2兆円投入し,そこで得られた特許,ノウハウが数十万点といわれるアポロ計画,10年間毎年3,000億円の投入を行い今日のライフサイエンスの進展を支える数々の新技術の創出を見た対がん戦略10ヵ年計画を代表に,これまで広汎な裾野の研究開発活動を活性化し,牽引していく大きな力を保有し,現在でも宇宙基地構想等様々な分野で広く大きく研究開発を牽引してゆく中心的な力を保持している。

これに対して我が国は,科学技術そのものをスローガンとするよりも実用を中心に取組む傾向が強く,利用の面から科学技術を牽引してきたため,利用者の動向が日本の技術力の強弱に大きな影響を与えている。この結果,企業,国民等技術を利用する側が技術の使い方,技術への注文の出し方をうまく行っている部門,例えば産業用ロボット,自動車等実用的な中規模の技術は大きく進み,そうでない部門の技術は弱いままになっている。

また,これまで我が国の科学技術の進展に大きな力を発揮してきた新幹線,全国自動交換中継システム,青函トンネル等の新しい大型開発も最近では少なくなり,この面での牽引力は大きく低下してきている。

しかしながら,これからの我が国として重要なことは,真に独創的,革新的な新しい技術を創出していくことであり,このような科学技術の発展のためには,実用だけでなく欧米と同様基礎研究や革新的な新技術の創出に向けて核となる課題を中心に多くの領域の研究者が協力して,集中的に取組みを強化していく必要がある。このため宇宙開発,新材料開発等といった新しい科学技術の創出に対して牽引力あるプロジェクトの設定や牽引力を発揮できる推進形態の整備が必要である。


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