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第1部   研究開発の新展開と連携の時代
第2章  新しい技術を求めて動き出した研究開発活動
4.  新展開に向けて拡大する連携関係
(2)  拡大する連携


第1-2-33図 に示されているように,民間企業において自主研究を重点的に実施するものは,5年前の73.7%が現在では71.3%とわずかに減少しており,これに代って他機関との連携を重点的に実施するものが増えてきている。

この自主研究を重点的に実施する企業においては企業戦略上自主研究が独自の技術開発の要であるとしてその推進に積極的に取り組んでいるものが大部分であるが,できれば連携したいが適当な相手が見当らないから自主研究を重視しているとするものが7%含まれている。また,連携を重視する企業ではその理由として,自社の欠けているところ,自社と異質なところを補完・活用するためとするものが最も多く,自社の研究開発ポテンシャルの水準を向上させるためとするものがこれに続いている。さらに,独創的なシーズ探索のための連携,市場ニーズに合った製品開発のための連携を挙けるものがかなりあり,しかも拡大しつつあるが,成功率の向上のため,資金負担軽減のため,研究開発期間短縮のためといった効率化を目的とするものは比較的少なく,競争相手がやるから,あるいは相手先が要請するからといった消極的な理由によるものも極めて少ない。

第1-2-33図 企業における研究開発の実施形態

もっとも,自主研究を重点的に把えていない企業でもなんらかの形で自主研究の実施を拡大していく傾向にあり,逆に,自主研究を重点とする企業もなんらかの形で他の機関との連携を保っていくものは拡大してきている。

また,連携先で見ると,国内諸機関との連携を重点的に実施しているとするもののうち,異業種他社との連携が最も多く,しかも,拡大傾向にある。大学との連携及び同系列企業との連携がこれに続くが,横ばいないしわずかに減少傾向にあり,同業他社との連携は少ない上に減少傾向にある。これに対して,海外諸機関との連携を重点的に実施している企業では同業他社との連携が圧倒的に多いが,全体としてはやや減少傾向にあり,これに代って異業種他社が大きく伸び始め,同系列企業や大学との連携がわずかではあるが伸びつつある。さらに,重点実施を含め何等かの形で連携を行う機関全体で見ると,国内外,相手先を問わずあらゆる局面で連携が拡大していく傾向にあり,とりわけ,大学,国公立試験研究機関との連携が大きくなってきている( 第1-2-35図 )。

第1-2-34図 企業における連携の理由

このように総じて言えば,企業は自らの基本戦略として重要な部分は自主研究で重点的にこれを実施するが,自社では欠ける部分,自社とは異質な部分あるいは自社のポテンシャル向上に必要ないし有益な部分については大学,国公立試験研究機関,企業等あらゆる機関を利用することが基本的な構造となっており,近時の科学技術の裾野や関連領域の拡大に伴って連携関係は全方向に拡大している。また,その実施形態においても,かつては,情報交流,技術提携が主流であったが,近時は共同研究が著しく伸びているのを始め,委託研究,受託研究といった研究の実態的な協力関係が大きく伸びてきている( 第1-2-36図 )。

第1-2-35図 企業の外部機関との連携の相手と動向

なお,この場合,企業間協力については,国内の競争関係の厳しさ等もあって国内同業他社との協力は少なく,海外の同業他社,国内の異業種他社との協力が多い。しかし,同業種企業間であっても共通基盤的な技術については,我が国の場合には研究組合を作って関係企業が共同してこれに取り組むことが行われ,通商産業省関係52組合,農林水産省関係5組合等が活動を行っている。

第1-2-36図連携の形態別動向

まだ圧倒的に国内機関相互の協力関係が多く,また,それを希望する機関が多いが,近時の連携の中で海外との協力は着実に増加してきている。しかも, 第1-2-37図 に見るように連携形態も昭和20年代から昭和40年代にかけては情報交流ないし技術提携型の協力が大きく増加し,昭和50年代に入ってからは年々共同研究,委託研究が大きく増大しつつあり,またわずかではあるが海外からの受託研究や海外の機関への寄附も増えつつある。

このうち,共同研究については相手機関のほとんどが民間企業との協力であり(85%),連携の理由が自社の不足するところの補完,相手国の市場ニーズにあった製品開発の促進にあることを反映して,研究内容も開発研究が68.5%,応用研究が30.1%ともっぱら応用開発指向となっている。

これに対して,委託研究については,相手機関が私的研究機関35.7%,民間企業34.3%,大学22.8%の順になっており,自社の不足するところの補完と並んで自社のボテンシャルを高めることを目的とするものが増え,開発研究35.7%に対して応用研究45.7%,基礎研究18.6%とやや基礎部門への期待が大きくなっている。

第1-2-37図連携開始の時期

共同研究,委託研究ともに年当たり投資額は増え(委託研究の場合,5年前は5,000万円以下が62%であったが,現在は48%),また,研究期間も1〜2年が多かったのに対して2年以上が増えるというようにそれぞれの内容も拡大されつつある。

さらに,近時ではまだ企業全体の中では数%台にすぎないが,先端技術調査,現地における研究開発等のために海外に研究開発の拠点を設ける動きも拡大しつつある。この場合,設置方法では現地法人による現地研究機関が多く(56%),我が国の企業による在外機関の直接設置はそれ程多くない(24%)。その規模,内容でも年間投資額1〜5億円,研究者5人未満,開発研究を主体とするものが多く,相互のニーズやコミュニケーションがうまくいって成功したもの,これらの不足や相手先の技術力等の認識不足からトラブルを起したもの等成果もさまざまであり,全体としてはまだ初歩的段階にあって真の国際化に向けて試行が重ねられているところと言えよう。


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