ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   研究開発の新展開と連携の時代
第2章  新しい技術を求めて動き出した研究開発活動
4.  新展開に向けて拡大する連携関係
(1)  拡大する資金,人材,成果のフロー



1) 資金的フローの拡大

産・学・官の間における研究費のフローを国際的に比較すれば,我が国は他の国に比べて全体として各部門間のフローは少ない( 第1-2-27表 )。

なお,国から企業へのフローが少ない点については,我が国ではこれまで国は国,大学は大学,企業は企業というように,それぞれの独自性が強く,どちらかといえば相互の接触が少かったこと,また,研究開発においては諸外国に比べて民間の活力に委ねるところが大きいこと,諸外国では,国防研究費を通ずる部門間のフローが多いこと等,様々な要因を指摘できる。

第1-2-27表 全使用研究費中の産・学・官の資金フローの関係

しかしながら,近時,研究開発自体の基礎への強化,異分野への進出の動きによって,それぞれの機関のみでは対応できない研究開発領域が増大し,各部門相互間のフローは拡大しつつある( 第1-2-28図 )。

これをまず国から企業へのフローについて見た場合,科学研究費補助金,科学技術振興調整費,次世代産業基盤技術研究開発費等民間の能力の活用を図り得る制度も整備されつつあるところから,近年わずかずつ拡大し,昭和53〜58年度の間に2.5倍に増加している。近時,民間活力の活用がさけばれ,企業の役割と能力を活用できるものについては,これを活用することが重要になっているが,民間能力の調達と新しい技術を産み,育てることの両面を含めてそのフローは更に拡大していくことが期待されている。

第1-2-28図 研究費フローの伸び

これに対して,企業から大学,国公立試験研究機関への資金フローは近年急速に拡大し,昭和53〜58年度の年平均増加率は各々25.1%,29.5%と同期間における企業の使用研究費の年平均増加率15.l%を大きく上回っている。さらに海外とのフローについて見れば,我が国の企業から海外への研究費の流れは年平均30.5%と増加してきているが,これを国際的に比較した場合( 第1-2-29図 ),西ドイツ,フランスが入超であるのに対し,我が国の受入れ研究費は少なく,大幅な出超となっている。これは,我が国の技術力は向上したとはいえ,それは製造技術等を中心としたものであり,研究開発能力においては,まだ欧米から頼られるところまでに至っていないためと見られる。

第1-2-29図 主要国の産業における海外との研究費フロー


2) 研究人材のフローの拡大

研究資金に比べて研究人材の方が流動性は低いものの,この面でもフローは拡大基調にあると見られる。

外部からの研究機関への転入の状況は,研究活動の拡大状況にあわせて,企業,大学,国公立試験研究機関の順に多いが,「研究人材の活性化に関する調査」によって,その内容面を見ると企業では新卒採用11.8(研究者100人に対する比)に対して中途採用が1.9と新人を採用して企業で育てていく傾向が強いのに対して,国公立試験研究機関では新卒採用4.9,中途採用2.6というように中途採用が比較的多くなっている。さらに企業の場合には,大規模のものが0.7に対して中小規模のものは2.9と外部機関からの中途採用のウェイトが高くなっている。

また,転出で見ると各部門とも5.4とほぼ似た状況にあるが,内容的には企業の場合,社内他部門への転出が8割以上を占め,国公立試験研究機関は3/4が他機関への再就職となっている。

他方,これを年令別に見た場合,研究リーダと一般研究員では態様が異なるが,研究者の場合, 第1-2-30図 に見るように,企業においては20代後半から30代前半にかけて社内での移動が行われ,外部からは20代後半に他社,大学からの転入が多く見られ,国立試験研究機関では30代前半に最も転入が多く見られ,転入先は大学,企業,その他機関の順になっている。

また,研究リーダについては 第1-2-30図 に見るように企業の場合,40代前半を中心に所内または社内の移動が多く,他社からもある程度の転入があるが,30代後半で大学から来た者も比較的多い。国公立試験研究機関では所内の移動のほか,30代後半の大学から,50代前半の他機関からの転入が目立っている。

人員の補充の方策としては,現研究分野を拡大していく部門では,現在のところ,社内移動のウェイトが高いが,将来的に新卒採用を目指すところが多い。これに対して,新規研究分野に対しては,現在のところ,社外からの中途採用が多く,これに新卒採用が続いており,将来的にも新卒採用の比率がやや上るものの,ほぼ同様の形で推移していくものと見られる。

また,新規部門に対する中途採用の動きは企業において顕著であるが,近時定員抑制が続いている国公立試験研究機関では既存組織体制の改編で対応しようとしているところも多い( 第1-2-31図 )。

第1-2-30図 研究者及び研究リーダの転入・転出年齢

第1-2-31図 目的別研究人材補充策

以上,総じていえば,一度確立した分野である現研究分野へは所内移動と新卒採用が中心に考えられているものの,新分野への挑戦のためには中途採用を行っている機関が最も多く,しかも今後増えると見られる。


3) 成果のフローの拡大

近時の科学技術の基礎の強化,異分野への進出の動きの拡大の中で研究成果のフローも拡大傾向にあると見られる。

ある程度完成された技術を示す特許についてその利用関係を示すデータはないが,技術貿易で見ても( 第2-3-1図 参照)着実に拡大している,

また,研究開発の計画化と実施プロセスにおいて必要となる科学技術論文については,日本科学技術情報センターの技術論文複写サービス件数の動きに示されるように,昭和50年代に入ってからは景気動向に左右されることなく着実に伸びており,研究開発に関連する知識需要は拡大していると考えられる( 第1-2-32図 )。

第1-2-32図 JICST複写サービス件数の推移


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ