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第1部   研究開発の新展開と連携の時代
第2章  新しい技術を求めて動き出した研究開発活動
1.  変化してきた科学技術への関心


以上に見たような我が国の研究開発力の量的向上の中で,科学技術へのニーズの変化を踏まえ,新たな研究開発への躍動が見られる。

科学技術に対する社会の関心は,時代とともに大きく変化してきた。これを見るための1つの例として主要科学技術分野について,社会的影響ということで取り上げられた新聞記事の件数の変化を見ると 第1-2-1図 のとおりである。昭和40年代前半までは全分野にわたって関心が低かったのに対し,昭和40年代中期から生活・環境技術を代表に工業生産技術,農林水産技術の分野の関心が強くなり,石油危機以降は資源・エネルギー技術,土地・空間利用技術が関心の上位を占め,昭和50年代中期からは情報・電子技術,ライフサイエンスに対する関心が急進してきた。

第1-2-1図 社会的影響に関する記事の科学技術分野別出現率の推移

第1-2-2図 「快適性」に関する記事の出現件数の経年変化

第1-2-3図 「製品・技術の安全性」に関する記事の出現件数の経年変化

第1-2-4図 「食品・農薬の安全性」に関する記事の出現件数の経年変化

第1-2-5図 「医薬品・医療技術の安全性」に関する記事の出現件数の経年変化

このうち,まず最初に国民の関心を増大させたものは環境公害,安全性といった人間に対して外部から作用する有害性の問題であったが,これらに対する関心は対策技術の進展等を見て近時は低下してきている( 第1-2-2図〜第1-2-5図 )。

この時代に続いてのエネルギー問題への関心の高まりの時代には,また,安全性とりわけスリーマイル島原子力発電所の事件等を軸にした原子力施設の安全性が強い関心を呼んだ( 第1-2-6図 )。

第1-2-6図 「施設・立地の安全性」に関する記事の出現件数の経年変化

しかし,ここまでは,安全性関係のものが中心であるが,昭和50年代中期以降は,情報科学技術等の進展に伴う雇用の変化,システムダウンによる生活行動への影響,プライバシー問題やライフサイエンスの進展に伴う組換えDNA,人工受精等人間の倫理感との関係のように人間の内面的な面との関係が中心的関心事になってきている( 第1-2-7図 )。

第1-2-7図 「社会性」に関する記事の種類別出現率の推移

第1-2-8図 国民の意識の変化

他方,昭和20年代から30年代を中心に物質の量的豊かさの追求が行われ,昭和40年代中頃からこれに加えて安全性を含めた物質の質的豊かさが求められるようになった。順次これらの充足が進むにつれて 第1-2-8図 に見るように昭和55年頃からは,心の豊かさを求める者が物的豊かさを求める者を越えるようになり,さらにその内容で見ても「科学技術は社会的諸問題の解決に役立つことを期待し,効率よりも文化の向上を重視すべき」とする者が過半数を越えるようになっており,この面でも科学技術は人間の内面性との関わりを強めることが求められるようになっている( 第1-2-9表 )。

第1-2-9表 科学技術についての国民の意識

このように,これからの科学技術の展開は,これまでにも問題になった安全性,エネルギー等の諸問題への対応力の一層の向上を図っていくことはもちろんであるが,さらには,これまでの物質を中心にした発想を越え,文化性ないし人間的な豊かさを主要な要素に取り入れた新たな展開を図っていくことがより重要となってきている。


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