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第1部   研究開発の新展開と連携の時代
第1章  向上しつつある研究開発能力
3  量的には拡大しつつある研究開発資源
(2)  拡大しつつあるマンパワー


研究開発の基本は人材にあり,このマンパワーの状況が研究開発における活力として反映されるが,特に我が国においては終身雇用制ともいわれる長期雇用が中心となっているため,研究者がその能力を背景に花形部門を目指して流動するというよりも各組織が抱えた人材がその所属部門の発展のために新たな道を切り開いていく力が強く,そのストックの状況が研究開発に大きな影響を有している。

この意味で,我が国の研究に係るマンパワーの状況を見れば,我が国のマンパワーは一貫として伸び続け,昭和59年には研究者37万人,研究関係従事者を含めて62.8万人と米ソに次ぐ規模になっており,その総量の面では世界的にもほぼ先進的なレベルになってきていると考えられる。

そのうち61%の22.4万人が企業等,31%の11.4万人が大学等,残り8%の3.2万人が国公立試験研究機関・特殊法人(以下国公立試験研究機関等という。)の研究機関に分布している。

このうち,研究者について見れば,昭和49年から昭和59年の10年間において特に産業部門の伸びが大きく年平均5.5%増加し,大学の3.7%,国立試験研究機関の1.0%に比べてかなり大きな伸びを示し,国全体の中に占める割合も54.9%から60.5%へと産業部門への人材集中が進行している。

なお,産業における研究補助者その他の研究関係従事者は,同じ期間に年平均1.3%(大学1.2%,国立試験研究機関マイナス0.8%)と研究者に比べ伸び率は低い( 第1-1-21図 )。

これは,近時,研究用施設設備の高度化等分析,検査等の業務の外注化の進展等によって,研究補助者,技能者の業務の合理化が進むとともに,研究を実施する側において研究者の比率を高めて研究効率をあげようとしているためと見られる( 第1-1-22図 )。

また,研究者について,これを専門分野,所属組織との関連で見た場合,まず理学系については全体的に数が少なく,化学を除き大学に人材が集中している。

また,総務庁統計の20分類の中では第3位の数の多さを誇る医学・歯学系については,その大部分が大学に集中し,国公立試験研究機関等では非常にわずかである。これに対して個人事業者が多く,研究面では国公立試験研究機関等が大きな役割を果たしている農林水産の分野では,その46%が国公立試験研究機関等で,残りを大学等と企業等が分けあっている。

以上の分野は,基礎,福祉等公的部門の果たすべき役割が大きく,大学,国公立試験研究機関等に人材が集中しているが,企業等が中心的に活動する工学部門においては,総務庁統計20分野でも人数において第1位電気・通信系7.1万人,第2位機械・輸送機系6.5万人,第3位化学系5.3万人というように上位を占めるものが多く,しかもその大きな部分を企業に集中している。

第1-1-21図 産業における研究関係従事者数の推移

第1-1-22図 産業における研究関係従事者数の構成比の推移

この場合,企業活動の活発な領域に人材が集まり,それが更に活力を増大しているが( 第1-1-23表 ),10年前と比べた場合,通信・電子・電気計測器,自動車等の分野では量も伸び率も大きい。また,総合化学,鉄鋼等の分野では量はあるものの伸び率は低く,現有のマンパワーを中心にした活動を進めているのに対し,医薬品,窯業等の分野では量的にはまだ少なく,現在マンパワーを拡大しているところと見られる。

さらに,研究者の専門別で見た場合,機械工学,電気通信,情報処理,応用化学,応用物理等の分野では企業が7〜8割を占め,鉱山,繊維等企業活動がやや停滞傾向にある部門や航空機等企業活動が成熟していない部門においては公的部門のウェイトが大きい。

また,工学以外でも近時企業活動の活発化に伴い,理学分野の中の化学,物理等,農学部門の中の生物工学,農芸化学,保健部門の薬学等においても企業への人材集中が進みつつある。

昭和59年度科学技術振興調整費による調査( 第1-1-24図 )によって研究人材の過不足に対する民間企業の研究関係者の考え方を見れば,研究者は「充足・余剰」の状態にあると考えている者が比較的多い分野として応用化学,化学,金属等があるが,これらの分野でも過半数が不足と考えており,今後もさらにマンパワーの拡充はさらに拡大していくものと見られる。また,特に電気通信,情報処理,生物工学の分野では「非常に不足・かなり不足」と考えている機関が過半数を占め,物理,生物,機械,応用物理等の分野でも「非常に不足・かなり不足」と考えているものが比較的多い。

第1-1-23図 業種別の研究者数と売上高順位

第1-1-24図 専門分野別研究人材の充足状況

このように,民間企業では現在でも全体的には研究者の量的不足感は強く,特にライフサイエンス,情報・電子等の先端的技術分野及び基礎的な理学系の分野に強い。今後の発展のためには,これらの非常に不足していると見られるものの多い分野を始めとする人材の供給,養成の一層の強化が必要と見られる。


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