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  はしがき

近年,我が国は,物質的にはかなりの豊かさを持つようになり,人々の関心も物の量的な確保から質の向上へ,さらには精神的,文化的豊かさの追求へと変化してきております。このため,科学技術の面でも,生産技術を中心とするいわばハードな科学技術から人間性や文化性も加味したよりソフトな科学技術への転換が求められるようになっており,また,基礎的なところから地道な努力を強化して独創的な科学技術を創造していくことが重視されるようになってきております。

このような時代の要請に応え,次代に向けた新しい科学技術の発展を図っていくためには,幅広く,かつ,密度の高い科学技術に関する知識経験の蓄積が極めて大切になってきております。

しかしながら,現在の我が国の科学技術は,国際的にも評価されるような高水準のものが増えているとはいうものの,まだ,全体としての層は薄く,いわば湖水の表面を漂う薄氷のような状態と考えられます。

今後,我が国が21世紀に向けて国際的にも信頼を受けながら発展を続けていくためには,基礎的研究や遺伝子資源管理等の基盤的な活動を充実して基礎からの厚みをつけ,また,人間の感性,心理,行動面の要素等も織り込んだ人間的,文化的な厚みをつけていくことが特に重要となってきております。

昭和60年の科学技術白書は,このような視点から我が国の研究開発活動や科学技術政策の現状と課題を整理し,今後の展開の参考に資することを目指しております。

私といたしましても,本白書の指し示すところを受け,政府関係機関における基礎的研究の充実や研究運営の改善,産・学・官の間の連携環境の整備等,我が国の科学技術の新しい展開に向けて種々努力して参りたいと考えておりますが,このためには,国民の皆様の御理解と御協力が不可欠であります。

本白書が我が国の科学技術の現状を理解していただくための一助となり,また,これからの科学技術の方向づけを考える上で参考に資するものとなれば幸いであります。

昭和60年12月   竹内   黎一   科学技術庁長官   国務大臣


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