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第3部   政府の施策
第2章  政府機関などにおける研究活動の推進
6.  多分野の協力による研究開発の推進
(3)  宇宙開発


宇宙開発は,通信,放送,気象観測をはじめとして,資源採査や環境保全等のための地球観測,船舶等の航行,科学観測等の広範な分野において人工衛星等の開発,利用が進められており,日常生活の中で重要な役割を果すようになっている。

さらに,米国のスペースシャトル計画,ソ連の軌道ステーション計画による活発な有人活動が展開され,微小重力,高真空等の宇宙空間の特性を利用した材料実験なども行われており,宇宙開発は,人類に新たな活動領域をもたらすものとして,ますますその必要性は高まっている。


(1) 国外の動向

1957年のスプートニク1号の打上げ以来アポロ計画まで,米ソ両国は国家の威信をかけて宇宙開発競争を展開してきた。そうした中で宇宙技術は急速な進歩を遂げ,現在これらの成果を踏まえ,米ソ両国は惑星探査等の科学分野から通信,気象観測,地球観測といった実利用分野,さらには有人飛行まで幅広い宇宙活動を展開している。

米国では,低コストで大量の輸送を行うことを目的として開始したスペースシャトル(1981年4月初飛行)を利用して,SBS-3(米国の国内通信衛星)を始めとする各種衛星の打上げ,欧州宇宙機関(ESA)が開発したスペースラブによる各種宇宙実験等を実施している。また,1984年1月には宇宙空間に恒久的な有人基地を設け,多様な活動を行おうという宇宙基地計画の推進を発表し,日本,西欧諸国及びカナダに対し,参加の呼びかけを行った。

一方,ソ連では,軌道上に人間が長期間滞在し,各種実験等を行う軌道ステーション計画を推進する一方,スペースシャトルに対抗する輸送手段の計画を進めていると言われている。

西欧諸国は,ESAを中心に宇宙開発を進めている。ESAは,スペースラブを開発したほか,衛星打上げにおいてスペースシャトルに対抗すべく,アリアンロケットの開発を進めていたが,ECS-1(欧州域内通信衛星),INTELSAT-V(国際通信衛星)等の打上げ成功により,実用段階を迎えた。西欧諸国は,ESAにおける活動の他,各国独自の宇宙開発も進めている。

また,中国,インドが自国のロケットにより衛星を打ち上げている。

以上の衛星打上げ手段を保有している国のほか,カナダ,インドネシア等は米国の打上げ手段を用いて国内通信衛星を打ち上げ,その運用を行っており,アラブ諸国,ブラジル等も衛星の打上げ計画を有している。また,東欧諸国はソ連との協力の下で宇宙活動を行っている。

国際的な宇宙活動については,国際衛星通信を目的としてインテルサット,(加盟国108か国(1984年3月現在))があるほか,海事衛星通信を目的としたインマルサット(加盟国38か国(1984年3月現在))も1982年2月より運用を開始している。また,世界気象機関(WMO)は,世界気象監視計画(WWW計画)に基づく全地球的規模の気象衛星観測網を構成し,世界各国の気象予報に貢献しているほか,米国のランドサット衛星が世界の12か国で受信され,受信データは世界各国で利用される等,宇宙分野での国際協力が盛んになってきている。

なお,各国の宇宙開発関係予算及び各国の人工衛星打上げ実績の推移を第3-2-14表及び第3-2-15表に示す。

第3-2-14表,先進国の宇宙開発予算の推移


(2) 我が国における宇宙開発

我が国の宇宙開発は,宇宙開発委員会が昭和53年3月策定し,昭和59年2月改訂した「宇宙開発政策大綱」に示されている長期的指針及びそれに沿って毎年度同委員会が定める「宇宙開発計画」に従い,宇宙開発事業団,文部省宇宙科学研究所を中心とする関係機関の協力の下に推進されている。

具体的には,我が国の人工衛星及びロケットの開発は,科学研究の分野については文部省宇宙科学研究所が,実利用の分野については宇宙開発事業団がそれぞれ担当しており,昭和45年に試験衛星「おおすみ」を打ち上げて以来,昭和59年3月までに29個の人工衛星を打ち上げている。

第3-2-15表 国別,種類別人工衛星打上げ成功数


我が国における衛星及びロケットの開発実績並びに今後の開発計画を第3-2-16表,第3-2-17表に示す。

昭和58年度における活動は次のとおりである。

(イ) 科学研究の分野については,昭和53年9月に打ち上げた第6号科学衛星「じきけん」,昭和54年2月に打ち上げた第4号科学衛星「はくちょう」,昭和56年2月に打ち上げた第7号科学衛星「ひのとり」及び昭和58年2月に打ち上げた第8号科学衛星「てんま」によるX線星等の観測を行った。 また,昭和59年2月M-3Sロケットにより光学的に成層圏,中間層の大気研究を行うこと等を目的とする第9号科学衛星「おおぞら」を打ち上げた。このほか,ハレー彗星の観測等を目的とする第10号科学衛星(PLANET-A),多様なX線天体の精密観測等を目的とする第11号科学衛星(ASTRO-C)の開発を進めるとともに米国及び欧州宇宙機関(ESA)が協力して行う第1次スペースラブ計画に参加して「粒子加速装置を用いた宇宙科学実験(SEPAC)」を実施した。
(ロ) 観測の分野については,昭和56年8月に打ち上げた静止気象衛星2号「ひまわり2号」を運用し,観測を行ってきたが,不具合が生じたため昭和52年7月に打ち上げた静止気象衛星「ひまわり」の運用を昭和59年1月に再開した。 また,静止気象衛星3号(GMS-3)及び海洋観測衛星1号(MOS-1)の開発を行つた。そのほか,米国の地球観測衛星(ランドサット)を対象とする受信処理施設の運用を行った。
(ハ) 通信の分野では,昭和52年12月に打ち上げた実験用中容量静止通信衛星「さくら」により衛星通信の実験を行うとともに,昭和58年2月に打ち上げた通信衛星2号-a「さくら2号-a」を運用した。 また,昭和58年8月N-IIロケットにより通信衛星2号-b「さくら2号-b」を,昭和59年1月N-IIロケットにより放送衛星2号-a「ゆり2号-a」を打ち上げた。 さらに,放送衛星2号-b(BS-2b)及び通信衛星3号(CS-3a,CS-3b)の開発,放送衛星3号(BS-3a,BS-3b)の開発研究を行うとともに移動体通信技術等について研究を行った。
(ニ) 宇宙実験の分野では,昭和58年8月にTT-500A型ロケットを用いた小規模の材料製造実験を行った。 また,スペースシャトルを利用する第一次材料実験(FMPT)について所要の開発研究を行うとともに搭乗科学技術者の募集及び選抜を進めた。
(ホ) 人工衛星系共通技術の分野では,昭和57年9月に打ち上げた技術試験衛星III型「きく4号」を運用し,三軸姿勢制御技術の実験等を行った。
(ヘ) 輸送系共通技術の分野では,文部省宇宙科学研究所が,第9号科学衛星(EXOS-C)の打上げ用として,M-3Hロケットの第1段に二次流体噴射推力方向制御装置等を装着したM-3Sロケットの開発を行うとともに,第10号科学衛星(PLANET-A)及び第11号科学衛星(ASTRO-C)の打上げ用として,M-3Sロケットの第2段及び第3段モータの改良,第1段補助ロケットの変更等を行うM-3SIIロケットの開発を行った。 一方,宇宙開発事業団では,通信衛星2号-b(CS-2b)及び放送衛星2号(BS-2a,BS-2b),静止気象衛星3号(GMS-3)及び海洋観測衛星1号(MOS-1)の打上げ用として重量約350kgの静止衛星を打ち上げる能力を有するN-IIロケットの開発を行った。さらに,液体酸素・液体水素を第2段の推進薬に用い,重量約550kg級の静止衛星を打ち上げる能力を有するH-Iロケットについて開発を行った。
(ト) 我が国の宇宙関係予算の推移を第3-2-18表に示す。
第3-2-16表 我が国の人工衛星打上げ実績及び計画




第3-2-17表 我が国のロケット開発実績及び計画


第3-2-18表 宇宙関係予算の推移


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