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第1部   21世紀の新たな技術の創出を目指して
第4章  民間企業における基礎的研究への取組み方
5.  基礎研究の意義とテーマ選定


基礎研究の意義について,各企業がどのようにみなしているか調査した結果をまとめたのが第1-4-15図の左側に示す数値である。全体として,「技術的課題解決」を目的とする企業の割合が最も多く,「革新的技術シーズ」指向がそれに続き,両方合わせて約70%を占める。「研究者の資質向上」と「技術開発力維持・向上」の「間接的効果」を期待しているのは,合せて19%に過ぎない。業種ごとに見た場合,一般的に全産業の平均と同様,「革新的技術シーズ」指向より「技術的課題解決」指向の企業の方が多い。しかし,業種によってこの順には差があり,「革新的技術シーズ」指向企業の比率が最も大きい業種は総合化学工業,医薬品工業,通信・電子工業であり,前2業種に比べ基礎研究費比率の小さい通信・電子工業における基礎研究が長期的視点から行われている度合が比較的大きいことがうかがわれる。「課題解決」指向が顕著なのは,自動車工業,電気機械器具工業,機械工業で,ほぼ半数が現在または将来の「技術的課題解決」の目的で基礎研究を行っている。「間接的効果」を指向している業種は,鉄鋼業,窯業などで,これらはいずれも今後,異業種進出に比較的重点を置いている業種である( 第1-4-1図参照 )。また,機械工業は基礎研究に意義を見出していない企業の割合が20%と全業種中最も高い。

第1-4-15図 基基礎研究の意義及び基礎研究テーマの選定方法

基礎研究の意義と基礎研究テーマの選定方法とは関係があると考えられる。第1-4-15図中1)の「革新的技術シーズ」指向に対応するのが,7)「技術シーズの追求」と8)「長期動向の予測」を合わせたもの(すなわち「長期的視点型」)と考えられる。また,2)の「技術的課題解決」指向に対応するのが,9)「社内の課題指向」と10)「研究開発課題指向」を合わせたもの(すなわち「課題解決指向型」)と考えられる。「長期的視点型」が全産業の36%であり,「課題解決指向型」が全産業の56%であって,全体として,上述の基礎研究の意義に対する認識と照応していると考えられる。テーマの選定は,「研究者の自主性に任せる」,または,「内外の動向を見る」としているのは,それぞれ全産業の3%及び4%と極めて少ない。昭和38年度の調査では,基礎研究における実質的なテーマ決定主体者についての質問に対し,11%が「研究者自身」と答えていることと比較すると,この減少は,基礎研究に戦略的指向を与える傾向が生じてきたためと考えられる。個々の業種について見ると,「長期的視点型」が多いのは通信・電子工業であり,「課題解決指向型」の多いのは,食品工業,窯業,次いで自動車工業などであり,「研究者の自主性に任せる」という企業が比較的多いのは鉄鋼業である。


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