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第1部   21世紀の新たな技術の創出を目指して
第4章  民間企業における基礎的研究への取組み方
4.  基礎研究の現状と対応


調査対象企業の基礎研究費比率と基礎研究者数比率の分布を第1-4-9図に示すが,これには各業種の平均基礎研究費比率及び平均基礎研究者数比率も併記した。各業種の分布の傾向について,両者の間にはほとんど差がない。ほとんどの業種で「2%未満」と「5〜10%」または「10〜20%」に2つの山が見られ,基礎研究の活発な企業と低調な企業とに分化している様子が現れている。

第1-4-9図 基礎研究費比率及び基礎研究者数比率の分布

この基礎研究における現状を更に詳しく調査した結果が第1-4-10表である。基礎研究が自社内だけで「十分」であるとしている企業は数%で極めて少ない。自社内だけでは「不十分」とする企業が過半数であり,ほとんど行っていないとする企業も40%を超えている。

業種別に見た場合,「不十分」とした企業数の割合が大きな業種は,食品工業,医薬品工業及び通信・電子工業であり3分の2以上が「不十分」としている。次いで窯業,自動車工業がそれに続く。これはいずれももともと基礎研究費比率が高いか今後基礎研究費を伸ばすとした企業数の割合が高い業種( 第1-4-13図参照 )である。

「不十分」とした企業は,その対策についてどう考えているか見てみる。

過半数の企業が,従来「外部に委託」しており約40%が「外部の研究動向に注目」し,特段の対策をとっていない企業は極めて少ない。今後の対策としては,「外部委託」の比重は変らない。全体的傾向としては,「外部の研究動向に注目」するとする企業の割合が減少し,「基礎研究を拡充」するとする企業が増えてくることが予想される。

現在,「委託機関」としては,約98%の企業が大学を挙げている。国立試験研究機関がそれに次いでいるが,その比重は大学に比べ小さい。「国外への委託」を挙げている企業は15.1%(32社)である。特に,通信・電子工業と医薬品工業においてその比率が高い。

なお,参考までに総務庁「科学技術研究調査報告」により,昭和57年度における産業の外国への全研究開発費に対する外部支出金額を見てみると,国内各機関への支出に比べ大幅に増加していることは注目される( 第1-4-11図 )。

第1-4-10表 基礎研究の状況

第1-4-11図 産業における外部支出研究費の伸び

「不十分」とした企業のその対策について業種別に見た場合,上述の全産業について見た場合の傾向と基本的な差はない。現在,「外部委託」の比重が比較的高い業種は非鉄金属工業で,逆に「外部委託」の比重が現在比較的低い業種は医薬品工業である。しかし,全般的に今後は「外部委託」,「外部の研究動向注目」の比重を減らし,基礎研究強化の方向がうかがわれる。

一方,基礎研究をほとんど行っていない企業は全体で43.8%であるが,これら企業のその理由あるいは今後の考え方を第1-4-12図に示す。

「企業にとって必要ではない」とする企業数は全体の12.0%でそれほど多くない。また,この割合は業種によってかなり差がある。「基礎研究部門の拡充」を行おうとする企業の割合は,通信・電子工業と医薬品工業の両業種では30%内外で,その高さが目立つが全体では12.9%で多くない。

全体的に見て,現在,基礎研究を「ほとんど行っていない」企業における今後の基礎研究部門強化の動きはにぶいことがうかがわれる( 第1-4-12図 )。これは,前述のように基礎研究の活発な企業と低調な企業の二分化を裏付けるものと言えよう。

第1-4-12図 基礎研究をほとんど行わない理由又は今後の考え方

基礎研究費比率及び基礎研究者数比率の今後の増減の見通しについて見てみる。基礎研究費比率と基礎研究者数比率とは,ほとんど同じ傾向を示している( 第1-4-13図 )。「低下の方向」(「やや低下する」と「大幅に低下する」とした企業の合計)にある企業数は,各業種とも極めて少ない。ほとんどの業種で現状維持のところにピークが見られるとともに「漸増」とする企業数の割合も高い。このことから,すべての業種について,基礎研究費比率の増加傾向が読み取れる。なお,「漸増」のところにピークのある業種は,医薬品工業,窯業,通信・電子工業及び自動車工業である。医薬品工業はもともと基礎研究費比率が最も高く,「技術開発力水準」が欧米企業に比べ平均的に見て「劣っている」とした業種であり,かつ,全業種の中で「大幅に伸びる」の比率が最も高く,基礎的研究分野の拡大を企図していることがうかがわれる。窯業は,セラミックス等新分野に富んでいる業種である。

第1-4-13図 基礎研究費比率と基礎研究者数比率の今後の見通し

第1-4-14図 基礎研究を推進して行く上での重点

基礎研究を推進して行く場合に,その重点をどこに置くかを示すのが第1-4-14図である。先に,基礎研究を「外部委託」する際に大学,国立試験研究機関及び公立試験研究機関への期待が大きかったのと同様に,この場合も「大学及び国・公立試験研究機関との交流による研究者の資質の向上」又は「共同研究の強化」が重要と考えられている。


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