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第1部   21世紀の新たな技術の創出を目指して
第4章  民間企業における基礎的研究への取組み方
3.  技術開発力水準と基礎研究への取組み方


我が国の産業は,積極的な技術導入を行い,それに独自の創意工夫を加え,ほとんどの分野でほぼ国際的な技術水準に達したと認識されている( 第1-4-3図 )。この「技術水準」は,現在の製品の品質,生産量,市場占有率等で自己評価した場合の結果であり,自主技術か導入技術かを問うていない。第1-4-3図に示すように,回答企業の4分の3以上が競争関係にある欧米企業に比べ同等以上の「技術水準」と考えており,「劣っている」(「やや及ばない」と「かなり遅れている」の合計)とした企業数(約20%)よりはるかに多い。また,業種別に見てみた場合,過半数の企業が「優れている」(「最先端にある」と「ややまさっている」の合計)としている業種は,通信・電子工業(76%),電気機械器具工業(56%),非鉄金属工業(55.8%)及び窯業(52.7%)で,逆に「劣っている」とした企業数の方が「優れている」とした企業数よりも多い業種は,医薬品工業及び食品工業である。さらに,通信・電子工業,鉄鋼業において「最先端にある」とした企業の割合がそれぞれ約28%と高いのが目立つ。

一方,産業の「技術水準」を技術貿易収支の面から見てみる。

我が国の技術貿易収支は,第2部第3章で述べているとおり,全体としては赤字であるが,新規契約分については,昭和47年度以降黒字となっている。この新規契約の技術貿易額について,世界の地域別及び主な業種別に分けたものが第1‐4‐4図である。我が国の新規契約分技術貿易収支における黒字基調は,主として開発途上国の多いアジア,南米,アフリカに対する大幅な黒字によるものであり,技術輸出額の半分がこれら地域への輸出である。ヨーロッパに対しては黒字であるが,イギリスとフランスに対して黒字であるものの,西ドイツとオランダに対しては赤字となっている。米国との間では大幅な赤字で,北米とヨーロッパを合わせても大きな赤字となっている。すなわち,我が国は現在,新規契約分技術貿易収支で黒字であるものの,欧米先進諸国との間では,与える量より受取る量の方がまだ多い。

第1-4-3図 欧米企業と比較した業種別技術水準

第1-4-4図 地域別・業種別新規契約分技術貿易(昭和55〜57年度平均)


欧米企業と比較した「技術開発力水準」 注) についての民間企業の意識を見ると,業種によって結果は異っている( 第1-4-5図 )。我が国の民間企業は「技術水準」に比べて,「技術開発力水準」が低いと見ており,今後の「技術水準」を独力で高めていく能力については,欧米に比べて劣ると感じていると言える。「技術開発力水準」が欧米企業に比べ「劣っている」とした企業(「やや及ばない」と「かなり劣っている」の合計)は,その主な理由として,「人材不足」とともに「基礎研究部門の不備」を挙げている( 第1-4-6図 )。一方,「技術開発力水準」が欧米企業に比べ「優れている」とした企業(「最先端にある」と「ややまさっている」の合計)は,その主な理由を「研究管理能力の優秀性」,「社内における独創性の重視」を挙げているが,「基礎研究部門の充実」を挙げている企業は非常に少ない( 第1-4-7図 )。次に,第1-4-7図の5業種についてさらに詳細に見てみる。「優れている」とした企業は,「劣っている」とした企業より基礎研究費比率が高く( 第1-4-8表 ),その大部分(68%)が基礎研究はまだ「不十分」としている。基礎研究に対して持つ意義については,「優れている」とした企業,「劣っている」とした企業のいずれもその大部分が「将来の革新的技術シーズを生み出すもの」として,あるいは「現在又は将来の技術的課題の解決を図る上で重要」として,基礎研究に意義を認めている。また,今後自社の基礎研究費比率が「伸びる」としており,「低下する」とした企業はほとんどない。しかしながら,「伸びる」とした企業についても,「大幅に伸びる」とした企業はほとんどない。


注)これまでの蓄積により,新しい製品や独創的な技術を独自の力で生み出す研究開発力の水準である。

第1-4-5図欧米企業と比較した業種別技術開発力水準

第1-4-6図 欧米企業と比較して技術開発力水準の劣る理由

第1-4-7図 欧米企業と比較して技術開発力水準の優れている理由

第1-4-8表 総合化学工業,電気機械工業(電気機械器具工業, 通信・電子工業),鉄鋼業,非鉄金属工業及び輸送用 機械工業における「技術開発力水準」が「優れてい る」とした企業と「劣っている」とした企業の基礎研 究に対する取組み方


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