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第1部   21世紀の新たな技術の創出を目指して
第3章  科学技術統計から見た基礎的研究
4.  産業における基礎的研究
(2)  業種と企業規模によって異なる産業の基礎研究費の伸長


昭和57年度における日本の全産業の研究費の約60%を化学工業,電気機械工業,輸送用機械工業の3業種で占めている。これら3業種は総務庁「科学技術研究調査報告」の「研究を行っている会社」数の4分の1,売上高,営業利益高でも3分の1を占めるに過ぎない( 第1-3-21表 )。また,資本金100億円以上の大企業187社(全企業数の1.3%)で,全研究費の約58%,全研究者数の約46%を占めている。研究開発活動の活発さの目安として,研究費の対売上高比率を見てみる。全産業の平均値は1.78(昭和57年度)であり,この値を大きく越える業種としては化学工業(特に医薬品工業),電気機械工業,輸送用機械工業(特に自動車工業)及び精密機械工業(特に光学機械器具・レンズ工業)が挙げられる。また,一般に資本金100億円以上の大企業は研究費の対売上高比率が全産業の平均値よりも高い。このように,業種別及び資本金規模別の格差が大きい。

化学工業,電気機械工業及び輸送用機械工業の3業種は,基礎研究においても大きな位置を占め,全産業の基礎研究費2,214億円のうち約3分の2を使用している。特に,基礎研究の活発な業種は化学工業であり,その中でも医薬品工業が活発である。化学工業の企業数の25.4%に過ぎない医薬品工業で全化学工業の基礎研究費の半分近い48.2%を使用している( 第1-3-21表 )。

各産業には製品に従いそれぞれ固有の性格があり,産業活動における研究開発の意義も異なっている。化学工業の場合,プラスチック・化学繊維・抗生物質など新しい物質を開発することが新製品の創出に結びつきやすいことから研究開発の重要な柱として新物質の開発が挙げられる。新物質,すなわち新材料の開発は前章で触れたように,基礎研究の成果が大きく貢献する。特に,医薬品工業の場合,製品が高付加価値であり,画期的な新技術,新製品の開発の指向が強いことから( 第1-4-1図参照 ),基礎研究費比率が14.0%と高いものと考えられる。一方,電気機械工業や輸送用機械工業は,組立産業であり,革新的製品が突然出てくることは少なく,きめ細かく製品を改良していく業種である。このため,設計,製造コスト,品質向上が研究開発の主力であって基礎研究費比率が全産業平均より低く,かわりに開発研究費比率が高い。セラミックスなどの新素材の研究開発に取り組んでいる窯業や,近年の組換えDNA技術等によって新製品開発に取り組んでいる食品工業では,研究費の対売上高比率はそれぞれ1.64%,0.63%と低いが,基礎研究費比率はそれぞれ7.8%,11.5%と非常に高い。

基礎研究費比率は一般に大企業ほど高く,先の資本金100億円以上の企業の基礎研究費は全産業の63.6%を占めている。

第1-3-21表主要業種別の「基礎研究」活動(昭和57年度)


前述のとおり,日本の産業の基礎研究費は増加傾向にあり,基礎研究費比率も昭和52年度の4.7%から57年度の5.5%へと上昇傾向にある。これを業種別に見ると54年度から56年度にかけて化学工業,窯業,54年度から57年度にかけて非鉄金属工業,輸送用機械工業,55年度から57年度にかけて鉄鋼業,機械工業,56年度から57年度にかけて食品工業,電気機械工業の伸びが平均より高く,全体としての基礎研究費と基礎研究費比率の増加傾向の中で,各々の業種は様々な変化をしている。


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