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第1部   21世紀の新たな技術の創出を目指して
第3章  科学技術統計から見た基礎的研究
4.  産業における基礎的研究
(1)  増加傾向に転じた産業の基礎研究費比率


近年,大学と政府研究機関の研究費が伸び悩む中で,産業における研究費は,国民総生産(GNP)の伸びをしのぐ勢いで伸びている。日本と欧米主要国の研究費総額の70%内外は産業で使用されており,産業における研究費の伸びが研究費総額の伸びを支配している。産業における実質研究費の伸びを見ると,日本は1971年度から伸びが落ち,74年度と75年度にはマイナスの伸びになった。しかし,1976年度からは順調に伸び( 第1-3-20図(1) ),さらに80年度以降はほとんどの業種で売上高の伸び以上に研究費が伸びている( 付属資料18参照 )。

実質基礎研究費について見ると,1977年度まで一貫して低下し,78年度初めて増加に転じ,近年は研究費総額の伸びを上回る伸びを示している( 第1-3-20図(1) )。この結果1969年度以降一貫して低下してきた我が国の産業の基礎研究費比率は,80年度以降増加の方向へ転じている( 付属資料3(1)参照 )。一方,米国の基礎研究費比率は,10年以上にわたってほぼ3%と変っていないが,西ドイツは一時期落ち込みを見せたものの( 付属資料3(3)参照 ),1981年度に5.6%と着実な上昇を見せている。この西ドイツと日本を比較すると( 第1-3-19表 ),実質研究費の伸びは1977年度から81年度の間,両者ともほぼ同じであるが,実質基礎研究費の伸びは,同期間において西ドイツが日本の約1.5倍と高い。

第1-3-19表 産業における研究費及び基礎研究費の推移(各国比較)


産業をとりまく経済上の変動と研究開発投資の関係を見ると,日本の場合,第1次石油危機のあった1973年度から減少し始めた日本の産業の実質研究費は,76年度まで前の水準に回復していない( 第1-3-20図(1) )。この間,基礎・応用・開発研究費の中で最も大きく削減を受けたのが基礎研究費である。基礎研究費は,実質で1981年度まで73年度の水準を回復せず,82年度においてやっと過去の最高時の70年度の水準に達した。一方,米国では1960年代後半から70年代前半にかけてやはり基礎研究費の割合が減少している。しかし,1976年度以降,米国の基礎研究費は応用研究費とともに同じ割合で上昇している( 第1-3-20図(2) )。すなわち,両国ともかつては不況時にまず基礎研究費が減少したが,近年の傾向は1981年度と82年度の国民総生産(GNP)の対前年度伸び率の低下にもかかわらず,基礎研究費の伸びが低下せず上昇しており,産業の基礎的研究に対する対応ぶりに前向きの姿勢が感じられる。

第1-3-20図 産業の性格別実質研究費


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