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第1部   21世紀の新たな技術の創出を目指して
第2章  代表的分野における基礎的研究
2.  情報・電子技術分野


情報・電子技術分野は,近年,急速な発展を見せている分野であるが,その中核であるコンピュータについて見るとその性能向上への要請は限りがないと言ってよいほど大きい。人間の頭脳は,目や耳を通じて得た情報を高速に処理している。人間の目は,毎秒百億ビットの情報を頭脳に送る能力がある。これをリアルタイム(実時間)で処理するコンピュータは,10-10 〜10-12 秒の速度(マシン・サイクル)が必要になると考えられ,現在のマイクロコンピュータの1,000〜10万倍の高速性能が必要になる。人々が話す自然言語や人間が目にする通常の映像をリアルタイムで認識する(即ち情報処理する)ことのできる高速処理能力を持つコンピュータは,一般の人々にコンピュータを身近なものとすることができ,より高度な情報化社会をもたらすことになると考えられる。

コンピュータの性能向上は,現在に至るまで,その主要部品である大規模集積回路(LSI)の進歩すなわちハードウェア技術の進歩によってなされてきている面が大きい。しかし,シリコン半導体を基盤とするLSIの高集積化は,いずれ限界に達すると考えられており,ガリウム砒素のような新しい材料の使用,従来の平面(二次元)集積構造を階層構造(三次元)にしていくなどの縦方向も含むLSI構造の研究開発,さらには材料のところで触れた超格子の研究が進められている。いずれも微細加工技術の開発とともに材料の基礎的研究の進展が重要となっている。,以上のようなLSIの微細化,高速化も長期的に見た場合門いずれ限界に達する。このため,大脳を始め生体における高度の情報処理能力に着目し,そのメカニズムに学び,これを模擬したシステムの研究等様々な角度から基礎的研究が行われつつある。これらは今後の革新的技術となり得る全く新しい分野であり,生物関係の専門家も含む異分野間協力による学際的研究が重要となる。

一方,情報処理に関し,新しい発展が期待されている技術分野として,以下の研究開発がある。多数のプロセッサを有機的に結合して1つの問題を分担して処理することにより高度の性能を発揮させる高度並列処理方式の研究や,従来,プログラムの形であらかじめ細かく設定した命令のとおりの仕事しかできなかったコンピュータに代わって,あいまいな表現を含む通常の人間の会話を理解して仕事を行うことができるシステムの研究が重要な研究対象になってきている。このためには,従来の遂次制御方式に代わる新しいコンピュータ・アーキテクチャの研究,より高度なコンピュータ用言語等の研究,人間の様々な音声や肉筆あるいは画像を正しく認識するより高度なパターン認識の研究を進めていくとともに,人間の頭脳にある知識をどういう形でデータベースに蓄え,コンピュータに入力するかの問題,人間が話をするときに頭の中にある考えとそれを表現するための言葉との関連,人間が視覚を通して得る情報をどういう形でコンピュータに入力するか等,人間の持つ知的機能の解明とその工学的実現のための研究が重要である。一つの問題に対し,従来に無い新しい体系を描く発想力,構想力,企画力を持つ人材を育成していくとともに,電子工学や情報工学の専門家だけでなく,人間工学や数学,コンピュータ・アーキテクチャ等多数の人材が相互刺激と協力関係に基づき,基礎的研究を積み重ねていくことが重要である。

情報・電子技術分野での我が国の貢献の状況について,前節と同様に論文数で見てみた。研究課題としては,「コンピュータ・アーキテクチャ」と「パターン認識」を一例として選んだ( 第1-2-2図 )。新材料分野と同様,米国の貢献が大きく,特に米国企業の貢献が目立っている。

第1-2-2図 先端技術分野における主要専門誌掲載論文数


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