? 昭和58年版科学技術白書[第2部 第4章 3 (1)]
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第2部  科学技術活動の動向
第4章  国際交流の動向
3.  二国間協力活動
(1)  西側先進国との協力


先進国との協力活動は,二国間協力協定等に基づき原子力,核融合等のエネルギー開発,天然資源開発,宇宙開発,海洋開発,ライフサイエンス,環境保全等先進国共通の問題の解決を図るため活発に展開されている。協力相手国は,米国,フランス,西ドイツ,カナダ,オーストラリア等の国である。なかでも米国とはエネルギー研究開発,非エネルギー研究開発及び環境保護の分野において協力協定が締結されているほか,天然資源の開発利用等に関し委員会が設けられており,緊密な協力関係にある。また,フランス,西ドイツ,オーストラリアとの間にはそれぞれ科学技術協力協定が締結されている。

以下,これら先進諸国との協力活動についてその動向を述べる。


(1) 米国との協力

米国との間では「科学協力に関する日米委員会」(日米科学協力委員会)の設置以来,「天然資源の開発利用に関する日米会議」(UJNR),「環境の保護の分野における協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米環境保護協力協定)等を通じ,科学技術全般にわたって広範な協力が進められてきたが,1979年5月に「エネルギー及びこれに関連する分野における研究開発のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米エネルギー研究開発協力協定)が締結され,また,1980年5月に「科学技術における研究開発のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定」(日米非エネルギー研究開発協力協定)が締結され,協力体制の一層の整備が行われた。

日米エネルギー研究開発協力協定に基づく協力は,核融合,石炭転換,光合成による太陽エネルギー転換,地熱エネルギー及び高エネルギー物理学の分野において共同プロジェクトの実施を中心として推進されている。なかでも核融合は,21世紀のエネルギーとして期待されるものの,莫大な開発費と多分野の研究者を必要とし,長い開発時間を要することから協定締結当初より,石炭転換とともに重点分野として挙げられていたものであり,「ダブレットIII」プロジェクト等の共同研究が継続されている。また,交流計画,共同計画,プラズマ物理学についても協力が行われている。

一方,石炭転換については,1981年に「SRC-II」プロジェクトの実施協定が失効したが, 「EDS法」等について協力が行われている。また,その他の分野においては,1981年9月に「光合成による太陽エネルギー転換」の実施取極が締結され,高エネルギー物理学,地熱エネルギーとともに協力活動が行われており,1982年5月には「太陽エネルギー」の実施取極が締結された。

日米非エネルギー研究開発協力協定に基づく協力は,宇宙,ライフサイエンス,基礎物理,環境,防災,農業等エネルギー開発以外の広範な分野にわたる47プロジェクトについて情報交換,専門家会合の開催等を中心に行われている。1983年1月には「中性子散乱」の実施取極が締結されたほか,いくつかのプロジェクトについても共同研究を行うために実施取極の締結準備が行われている。また,各プロジェクトにおける活動の進め方等を検討するため,本協定に基づく合同委員会が1981年9月東京において開催されている。

UJNRは,1964年1月の第3回日米貿易経済合同委員会での合意に基づき設置されたものであるが,現在,同会議の下には17の専門部会及び,そのうち海洋関係分野の7専門部会の活動を調整する一つの調整委員会(海洋資源工学調整委員会:MRECC)が設けられ,防災,医療,農林水産業,環境,海洋等の分野において,協力活動が続けられている。また,各専門部会のレビューを行うため,1981年10月のワシントンD.C.の会議まで,10回のUJ NR本会議が開催されている。

日米科学協力委員会は,1961年6月の池田-ケネディー会談における合意に基づき設置され,1)科学教育,2)科学技術情報,3)地球科学,宇宙科学及び天文学,4)生物科学,農学及び医学,5)数学,物理学及び化学,6)工学,7)学際問題(特定領域として,食糧科学及び海洋生物学を含む。)の7部門について共同研究,セミナーの実施等の方式で協力活動が行われており,日本学術振興会が主たる実施機関となっている。198年8月には東京において第8回の共同議長会議が開催された。

医学分野においては,1965年の両国首脳の共同声明に基づき,アジア地域にまんえんしている諸疾病に関する協力研究が進められている。

宇宙開発の分野においては,1969年の「宇宙開発に関する日本国とアメリ力合衆国との間の協力に関する交換公文」等に基づき技術協力を進めている。また,1979年7月宇宙開発委員会及び米国航空宇宙局(NASA)の間の合意に基づき設置された宇宙開発委員会・NASA常設幹部連絡会議(SSLG)の下で宇宙分野における共同プロジェクトの推進及び新たなプロジェクトの検討等の協力が行われている。

原子力分野においては,1968年の日米原子力協定に基づき,ウラン濃縮役務の提供等の協力が行われてきている。1977年以来懸案であった東海再処理施設の運転継続,第二再処理工場の建設・運転等の日米再処理問題については,1981年5月の日米首脳会談において,早急かつ恒久的な解決を図ることが合意され,同年10月の日米再処理共同声明において,恒久的解決を達成するため,1984年末までに,長期的かつ予見可能な形での相互に受け入れ得る取決めを作成する意図を有することが確認された。


(2) フランスとの協力

フランスとの協力については,1974年7月に締結された「日仏科学技術協力協定」に基づき,海洋開発等の分野で情報の交換,専門家会合の開催,共同研究の実施等の協力が進められている。

また,1982年4月のミッテラン大統領の訪日の際に鈴木総理との日仏首脳会談において,科学技術協力の拡充強化が合意され,新材料,バイオテクノロジー等が新たな協力分野として加えられ,協力が開始されたところである。

原子力の分野では,1972年に日仏原子力協定が発効して以来,原子力平和利用の面で積極的に協力が行われている。また,海洋科学の分野で日仏日本海溝共同調査事業(KAIKO)の実施を図ることとされている。


(3) 西ドイツとの協力

西ドイツとの協力については,1974年10月に締結された「日独科学技術協力協定」に基づき,海洋科学技術,原子炉の安全性研究,高温ガス炉,生物学・医学,環境保護技術,新エネルギー技術,情報・ドクメンテーション,保障措置の各分野においてパネルを設置しているほか,宇宙,交通技術等の分野についても協力活動を行っている。


(4) 欧州宇宙機関(ESA)との協力

1972年に我が国と欧州宇宙研究機構(ESRO,現在の欧州宇宙機関(ESA)の前身)との間に交わされた交換公文に基づき,1982年11月に第8回行政官会議が東京で開催され,スペースラブ微小重力を利用した研究,宇宙基地,衛星の追跡支援等について意見交換が行われた。


(5) カナダとの協力

1972年にカナダのA.ギレスピー科学技術大臣を団長とする科学技術調査団が来日し,これを契機として「日加科学技術協議」が設置され現在まで5回の協議が日本,カナダ交互で開催されている。

現在,寒冷地舗装,北方資源輸送船等高緯度地域特有の課題を含むエネルギー,宇宙利用,輸送,農林業,環境,防災等の分野で情報の交換,専門家会合の開催,共同研究の実施等の協力が進められている。

また,我が国にとって天然ウランの主要供給国であるカナダは,1974年12月及び1976年12月に核不拡散強化を目的とするウラン輸出政策を発表し,その具体化のため我が国を含む関係諸国と原子力協力協定の改訂交渉を続けたが,我が国とは1年余りの交渉を経て,1980年9月に改正議定書が発効したが,その後再処理,第三国移転等についてカナダ政府の事前同意を抱括的なものとするための協議が行われ,1983年そのための書簡が交換された。


(6) オーストラリアとの協力

オーストラリアとの協力については,1980年11月に「日豪科学技術研究開発協力協定」が締結され,1978年6月に第5回日豪閣僚委員会で合意されたエネルギー研究開発等の協力とあわせ,科学技術の協力体制が整備されてきた。

現在同協定に基づき,作物生理学,海洋地質学等の分野において協力が実施されているほか,ライフサイエンス,プラズマ物理学,地球科学,宇宙利用等の分野における協力が検討されている。

また,エネルギー研究開発協力の枠組の下では,石炭の液化,太陽エネルギー等に関する協力が行われている。

原子力分野においては,我が国にとって天然ウランの主要供給国であるオーストラリアは,1977年5月に新保障措置政策を発表し,その具体化のため我が国を含む関係諸国と原子力協力協定の改正・締結交渉を続けてきたが,我が国とは3年余りの交渉を経て,1982年3月に新協定の署名が行われ,同協定は同年8月発効した。この新協定では,再処理,第三国移転について長期的・抱括的事前同意方式が取り入れられている。


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