? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第4章 4 (1)]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第4章  情報化の新たな展開に向けて
4.  今後の科学技術の開発の在り方
(1)  ハード技術及びソフト技術のバランスのとれた発展


今後の情報化に必要な情報処理技術及び通信技術の発展を図っていく上で以下の諸点に十分留意しつつハードとソフトのバランスのとれた発展を図っていくことが重要である。

1) コンピュータの利用が社会の広い分野に拡大し,また,その利用も高度かつ多様なものとなっていくことに伴い,コンピュータのソフトウエアの需要は一層拡大していくものと考えられる。また,ソフトウエアの大規模化等に伴い,その生産・保守に要するコストが高まっていることなどからコンピュータの利用にかかるコストは,ソフトウェアの方がハードウエアより高い比率を占めている分野が多い。しかし,ソフトウエアの生産は,基本的に人手に依っておりその生産性を高めるための技術は,まだ不十分なものであるため,今後,アルゴリズムの自動作成,作成されたプログラムの自動検証等ソフトウェアの設計,製造の自動化支援のための技術開発が重要である。
2) 初期のコンピュータのアーキテクチァーは,ハードウエアが極めて高価であり,信頼性も低かったことからハードウェアを最少限としてこれをソフトウエアでいかに効率的に活用するかという方向に決定された。しかしながら近年,素子の集積度の急速な向上に伴い,ハードウエアのコストは大幅に低下するとともに信頼性が向上し,また,1チップマイクロセッサに見られるように素子自体の機能も高度なものが実現している。このような傾向は,一層促進されるものと見られているが,今後ソフトウエアの重要性とその開発の困難性に鑑み,ソフトウエアの負担をできる限り低減できるようなハードウエア,アーキテクチャーの開発を推進することが必要である。
3) ディジタルネットワーク化に向けてのソフトウエアに関する課題としては,今後の利用形態の多様化に即応して異機種のコンピュータ間や異なる通信システム間で情報を自由かつ円滑に伝達させるため,分散処理ネットワークを支援するための標準的通信規約(プロトコル)やデータの暗号化等安全性・信頼性対策の確立が重要となっている。
4) また,社会各分野における情報化を進展させるためソフト技術は,重要な意味をもっている。今日までの情報化の中心となっていた製造業の自動化は,急速に進展し,高い生産性に基づいて,安価で良質の工業製品を産み出しており,国際的にも高い競争力を持つに至っている。これを可能としたものとして,コンピュータをはじめとするハードウエアの発展とともに忘れてはならないものが,自動化の進展を支えたソフト技術である。即ち,製造工程において材料,加工組立等について最適の技術条件を実現するとともに,設備の信頼性を保障し,また,工程の変更等に柔軟に対応していくためのノウハウ等のソフトを確立する努力が重要な役割を果たしてきた。 したがって,情報化に向けて科学技術を社会の各分野で利用していくためには,単にハードウエアを開発し,これを導入するのみでは不十分であり,生産プロセスの場合に相当するようなソフトを蓄積していくことが不欠可である。このようなソフトは,今後の社会の変化にも即応しつつ充実していくことが必要であり,このためにはある程度経験的に進めていくことが必要となろう。第2章において,ニューメディアの開発について,モデル地域を設定した実験等が進められていることを述べたが,このようなアプローチで着実にソフトを確立していくことが求められる。

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