? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第4章 3 (4)]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第4章  情報化の新たな展開に向けて
3.  技術予測に見る技術発展の展望
(4)  実現時期と社会的要素のかかわり


技術予測は,約5年毎に実施されてきており技術課題を15の分野に区分し予測を行っている。各分野の情報化にかかわる課題で,5年前の予測と今回の予測において共通してとりあげられた課題について実現時期の予測を比較すると,教育及び保健・医療分野においては今回予測された実現時期が前回の予測よりは7〜8年遅く,生活,安全,交通・運輸及び生産・労働分野では2〜3年遅くなっている。これらに対して,言わば技術の供給側と目される通信・情報・エレクトロニクス分野では全体として遅れが生じていないことから見て,このことは技術的可能性が高まる一方で,実際に社会に適用していく上で社会的な要素が意識されるようになっていることを示すと考えられる。

例えば,ペーパレスオフイスの実現は,通信・情報・エレクトロニクスと生産・労働の両分野で取り上げているが,前者において重要度「大」(技術予測においては重要度の評価について「大」,「中」,「小」の3段階で専門家の評価を求めている。)43%,実現時期1993年頃と評価されているのに対し,後者では,重要度「大」が13%,実現時期1998年頃となっており,調査対象者のコメントを見ると,前者がソフトの開発,通信コストの低減を課題とするなど技術的側面の問題点を指摘しているのに対して,後者は人間関係や話し合いが基調となっている日本の事務組識がそこまで電子化されるとは思えないというように組識の側面からの問題点を指摘している。また,ロボットについては通信・情報・エレクトロニクス分野では重要度「大」86%と高く評価されているが,生産・労働分野では,危険作業に従事するものを除き,汎用性の高いものの重要度は必ずしも高くない。ロボットは,保健・医療分野においても重要度「大」は,21%と低く,コメントとして精神的に弱っている病人にロボットを接触させるのは好ましくないというように人間性とのかかわりを重視する意見が出されている。

各分野全般に対するコメントを見ても,技術開発が社会制度に与えるインパクトの評価が重要であること,コンピュータ導入の効果と人間的触れ合いの減少との間のバランスを考慮することが重要であることなどの意見に見られるように,科学技術を実際に社会に適用していく上で,社会制度,人間性とのかかわりが重要であるとする指摘が多く,今後の情報化の展開に対応する科学技術には,社会,人間との調和を意識した発展が求められるものと考えられる。


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