? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第4章 3 (3)]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第4章  情報化の新たな展開に向けて
3.  技術予測に見る技術発展の展望
(3)  今後の社会の動向に対応する技術課題


(国際化の進展への対応)

通信技術の高度化に関連する技術課題として,世界をカバーする国際データ通信網の形成及び国内通信網からの自動接続の実現が重要度を高く評価されており,レーザを利用した衛星通信の実現とともに1990年代前半に実現すると見られている。また,長距離無中継の国際光回線の実現についても評価が高く,実現時期は1990年代後半とされている。国際間の情報流通を拡大していく上で必要と考えられる翻訳作業の自動化については,構文レベルで外国文献を日本語に翻訳する技術の実用化が1990年代前半と見られている。

(経済社会の成熟化と活力の維推向上への対応)産業における生産の効率化,自動化に関連する技術としてCAD/CAMシステムを用いたフレキシブルな設計・生産一貫システム,工作機械に自己診断機能を付与した高度な制御システム,一部に故障があっても安全が確保される生産システムの技術が高く評価されており,いずれも1990年代前半に実現すると見られている。また,視覚,聴覚等の機能を持ち,自律的に意志決定し行動するロボットについては,生産分野の専門家の間では2000年頃が実現時期とされている。オフィスオートメーションに関連するものとしては,前述の手書き日本文の読み取り,自然言語によるプログラム入力の評価が高い。

国民生活の多様化に対応するものとしては,家庭学習等生涯教育に向けての学習機会の拡充のための技術が重視され,1990年代後半に実現すると予測されており,また各種の生活情報(案内,予約,注文等)を随時得られる双方向性の映像情報システムが1995年頃までに普及すると見られている。

(高齢化の進展と安心で住み良い社会の実現への対応)

保健医療に関連するものとして,各種疾患の早期発見等のための医用電子機器関連技術及びどんな地方でも適切な救急医療を提供するための救急医療システム,医師が必要とする情報を短時間で提供するシステム,病院間の医療データの伝送ネットワーク等医療の効率化を図るとともに地域医療の確保に寄与する医療システム技術が最も高く評価されており,いずれも1990年代半ばまでには実現すると予測されている。また,これらに次いで,健康な環境づくりのための環境管理システム,個人の健康管理システム,身障者等の感覚機能,運動機能を補助するための機器技術が重要と見られているが,個人の健康管理システムを除き,実現時期は1990年代後半以降とされており,特に感覚機能の補助については技術的に困難な要素が多いことが示されている。

社会生活の安全の確保に関連する技術課題としては,地震の発生を初期微動の段階で検知し,コンビナート等の施設の被害を軽減,防止するシステム,局地的な集中豪雨の予知予報システム等の災害関連技術及び大地震の発生又は誤報によって起こるパニックを防止するための全国的なネットワークシステムが重要とされており,いずれも1990年代半ばには実現可能と見られている。

大都市,地方を問わず必要な情報の入手ができる環境を整備していくことに関連して,ISDN(サービス総合ディジタル網)の形成等の技術課題のほか各種交通システムの自動化,安全化のための技術,様々な交通手段の最適な利用を可能とする全国的な総合交通情報システムが重要と見られており,いずれも1990年代半ば頃までに実現可能とされている。なお,高齢化の進展に伴い,高齢者がその技能,経験を活かしてボランティアとして社会参加することを容易にする情報システム,労働の場において中高年者に適した生産システム及び訓練システムが重要となると見られており,いずれも1990年代前半には実現可能とされている。


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