? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第3章 5 (2)]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第3章  情報化を支える科学技術の発展
5.  情報化を支える科学技術に関する研究開発活動
(2)  我が国における研究開発の動向


研究開発の動向を会社,研究機関,大学で行われている情報処理に関する研究開発と,科学技術の面で情報化と関連の深い産業分野である通信・電子・電気計測器工業における研究開発の2つの側面について見ることとする。

まず,総理府統計局「科学技術研究調査報告」により,情報処理に関する研究 1) について見る。昭和57年度における情報処理研究費は,「会社等」,「研究機関」,「大学等」 2) の合計で2,498億円にのぼり,研究費総額の4.4%を占め。


注)1. ハードウエア及びソフトウエア関係の研究を言う 2. 「会社等」,「研究機関」,「大学等」については第2部第1章101ページの脚注を参照。ただし,「会社等」における情報処理研究費については資本金1億円以上の会社,特殊法人を対象としている。

ている。研究費をテーマ別に見た場合,当該研究費はエネルギー研究費,ライフサイエンス研究費に次いでおり,宇宙開発研究費,海洋開発研究費を上回る規模となっている。

次に昭和47年度を基準とした研究費の伸びを第1-3-28図によって見ると,情報処理研究費の伸びは研究費総額の伸びとほぼパラレルに推移しており,研究費総額に占めるシェアも4%前後で横ばい傾向を示している。しかしながら,当該研究費の伸びを組織別に見ると,「会社等」において著しく高く(57年度の対47年度比605%),研究費総額の伸び(同377%)を大幅に上回るのに対し,「研究機関」の伸び(同232%)はそれほど高くない。

第1-3-28図 情報処理研究費の伸び

このことは,情報処理研究費の組織別シェアからもうかがうことができる。第1-3-29図を見ると,近年「会社等」のシェアが増大し,57年度には全体の80%を占めているのに対し,「研究機関」のシェアは減少しており,57年度は17%にとどまっている。また,「大学等」のシェアは横ばい状態であり,57年度で3%を占めるに過ぎない。

第1-3-29図 情報処理研究費の組織別シェア

このように情報処理に関する研究開発は「会社等」で最も活発に行われているが,さらに,「会社等」の内訳を業種別に見ることとする。

第1-3-30図は,情報処理研究費の業種別シェアを示したものであるが,通信・電子・電気計測器工業,電気機械器具工業及び運輸・通信・公益業の3業種が大きなシェアを占めていることが分かる。しかしながら,46〜48年度に比べると55〜57年度においては機械工業,化学工業等のシェアが増加し,情報処理に関する研究開発が数多くの産業分野で活発になってきていることが分かる。

以上,情報処理研究費について見たが,情報化を支える科学技術の研究開発にはコンピュータのほかに通信機器,制御機器,素子等に関する研究開発が含まれる。これらを包括的に見るため,これらに最も関連の深い産業として,総理府統計局「科学技術研究調査報告」による通信・電子・電気計測器工業を取り上げ,研究開発活動の動向を見ることとする。

第1-3-30図 情報処理研究費の業種別シェア

第1-3-31図 通信・電子・電気計測器工業諸指標 の全産業に占めるシェア

第1-3-31図はこの分野の諸指標について産業全体に占めるシェアを示したものであるが,総売上高,従業者数のシェアに比べ,研究費,研究者(本務者)数のシェアが大きく,この分野が研究集約型の産業であることが分かる。同図について46〜48年度の平均と55〜57年度の平均のそれぞれについてのシェアを比較すると,いずれの指標についてもそのシェアは伸びており,この分野は産業全体の中でますます重要な役割を果たしてきていると言える。この傾向は研究費の伸びからもうかがうことができる。第1-3-32図は昭和47年度を基準とした研究費の伸びを見たものであるが,近年,この分野の研究費は全産業の研究費を上回って伸びてきていることを示している。

第1-3-32図 通信・電子・電気計測器工業の研究費の伸び

第1-3-33図は研究費の性格別構成比を示したものであるが,この分野においても全産業における構成比とほぼ同様の傾向を示している。つまり基礎研究の割合が数パーセントと極端に低く,開発研究が大きなウエイトを占めており,この分野においても開発研究を中心として研究開発が進められてきたことが分かる。

第1-3-33図 通信・電子・電気計測器工業の研究費 の性格別構成比(昭和57年度)

第1-3-34図 通信・電子・電気計測器工業及び機械 工業における製品別研究費の伸び

近年,業種の垣根を超えた研究開発が増えつつあり,電子技術と機械技術が融合し,メカトロニスなど新しい領域を生み出していることを前項で見た。これを研究費から見ると,通信・電子・電気計測器工業においては機械製品に関する研究費が,また,機械工業においては電子製品に関する研究費が他の分野の研究費に比べて大きく増加していることが分かる,( 第1-3-34図 )。また,研究者(本務者)数について見ても,通信・電子・電気計測器工業においては,機械系の研究者が,機械工業,自動車工業においては電気・通信系の研究者が大幅に増加し( 第1-3-35図 ),新たな領域の進展がうかがえる。

第1-3-35図 産業,専門別研究者(本務者)数の伸び

以上見てきたように,情報化に関連する産業の研究開発は非常に活発であり,国内の種々の産業においても情報処理に関する研究費が増加してきていることなどから,将来のより一層の発展が期待される状況にある。今後,当分野において自主技術の開発を更に進めていくためには,基礎研究のウエイトを高めることが必要となろう。


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