? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第3章 4 (1)]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第3章  情報化を支える科学技術の発展
4.  通信技術の発展
(1)  有線通信技術


有線通信技術は,電信,電話の発明以来公衆電気通信の発展を支え,戦後においては無線通信と相互に補完しつつ,急増する通信需要に対処して伝送路の大容量化,高品質化,経済化が図られてきた。

我が国における有線通信技術の進展を実用化された主な方式から見ると第1- 3-18図のとおりとなる。戦後の復興は戦前に我が国において開発された無装荷ケーブル伝送方式を中心として行われたが,伝送路の大幅な大容量化を図るため,昭和30年代前半に入って同軸ケーブル伝送方式が導入された。この時点では,欧米諸国と我が国の技術水準には大きな隔りが生じており,電話960回線相当のC-4M方式の実用化に当たっては欧米からの技術導入が行われたが,C-12M方式を自主技術開発することによってほぼ欧米諸国の水準に達した。また,昭和40年頃には,高周波特性のよいシリコンプレーナ形トランジスタの開発などにより各方式の中継増幅器等が電子管式からトランジスタ化され,大幅な小形化と低消費電力化が達成された。

第1-3-18図 有線通信技術の進展

ディジタル伝送の基礎であるPCM(Pulse Code Modulation ;パルス符号変調)方式は1930年代末に英国人によって発明されたものであるが,半時は素子や回路などの周辺技術及びPCM方式に必要な広帯域伝送技術が未熟であったため実用化されるまでには至らなかった。しかし,半導体素子技術やパルス技術の進展等技術的,経済的にPCM方式を可能とする環境が熟して国際的にPCM方式の研究開発が活発に行われ,1970年代に入って伝送路の大容量化に加えてディジタル化の傾向が顕著になっている。

一方,1960年のレーザの発明を契機として極めて大容量の情報を伝送する手段として光通信方式が注目されるようになり,1970年に米国で損失の低い光ファイバが開発されて以来,新しい有線通信技術として光ケーブル伝送方式の研究開発が国際的に活発化した。我が国においても極めて低損失の光ファイバ,安定な半導体レーザ,高感度の受光素子などが開発され,昭和50年代後半に入って光ケーブル伝送方式が公衆通信に実用化されるようになった。光ケーブル伝送方式は,同じ400 Mbit/sの伝送速度(電話5,760回線相当)を有するPCM方式でも,中継距離が同軸ケーブル伝送方式の1.5kmから20km又は25kmと10倍以上になり,第1-3-19図に示すとおり経済性が高い。このため,昭和59年度完成を目標に北海道から九州に至る日本縦貫大容量光ケーブル伝送路の建設が進められている。

第1-3-19図 光ケーブル伝送方式と同軸ケーブル伝送方式の経費比較

このように有線通信は,技術の進歩によって大容量化,経済化が進められてきた。光ケーブル伝送方式は,未だその潜在的な性能を十分引き出すまでに至っていないが,現在,これまでの4倍の1.6Gbit/Sの超大容量光ケーブル伝送方式に関する研究が電電公社において進められている。また,光海底ケーブル伝送方式についても,KDD及び電電公社において研究開発が行われており,将来は大洋横断光海底ケーブルに発展するものと期待されている。


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