? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第3章 4]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第3章  情報化を支える科学技術の発展
4.  通信技術の発展


電気通信は,19世紀における電信,電話の発明以来大きく発展し,情報伝達手段の中核として社会,経済の発展に寄与してきた。

我が国においては,国家の近代化における電気通信の重要性が認識され,早い時期にこれらの技術が導入され,これを消化吸収して国産化することにより,一応の水準に達していた。この結果,逓信省及び大学を中心に,TYK式無線電話の発明,無装荷ケーブル方式の発明,八木-宇田アンテナの発明など特筆すべき自主技術開発の成果が戦前において上がっている。

昭和20年代後半以降は,経済の急成長に伴って増大する通信需要に対処することが重要になった。特に公衆通信においては,電話機の架設に対する需要の充足(積滞の解消)及び全国どこにでもダイヤル通話できるようにすること(全国自動即時化)が主要な課題となり,このための研究開発及び設備投資が行われ,昭和50年代前半にはこれらの課題はほぼ解決された。

一方,社会,経済の発展に伴って通信に対する需要が高度化,多様化した。すなわち,情報処理システムの高度化の要求の高まりに対応して,コンピュータと端末又はコンピュータ間を通信回線を介して接続するデータ通信が昭和39年に開始されたのをはじめ,文書や図面などの画像情報が伝送できるファクシミリ通信など電話以外の形態の新たなサービスが提供されるようになってきた。これらの新たなサービスに対する需要は,第1-3-16図にデータ通信の例を見るとおり,近年急増している。

通信の理想としては,任意の場所にいる相手に対して音声のみならずデータや画像など多様な情報を正確,迅速かつ経済的に伝達することが求められる。従来は,電話,データ通信など個々のサビースに適した通信網が個別に構成され,有線及び無線の伝送路の大容量化,交換機の高機能化が図られてきた,近年,素子技術,ディジタル信号処理技術の進展とデータ通信などディジタル化された情報の伝送に対する需要の高まりを背景に通信網のディジタル化が進んでいる。

第1-3-16図 国内データ通信回線数の推移

通信網のディジタル化は,第1-3-17図に示すとおり,まず市外伝送路のディジタル化が行われ,次に交換機がディジタル化され,最後に加入者線も含めた電気通信網全体のディジタル化が達成されるとともに,移動通信を含めてそれまで個々のサービス毎に構成されていた通信網を一つに統合するISDN(サービス総合ディジタル網)に発展するものと見られている。通信網は社会のインフラストラクチャーを形成しており)古いシステムと新しいシステムが混在するのが常であるが,現在は第3期の技術が実用化された段階である。

ディジタル通信網には,1)電話,コンピュータ間通信,画像通信等各種の情報をすべてパルスの有無で画一的に取扱うことができるため,一つの通信網で多彩なサービスを効率的に提供できる,2)ひずみや雑音に強く通信品質が一定であり,高速の伝送も可能である,3)ネットワーク自体に高度の機能をもたせ得るため,情報の圧縮や蓄積処理が可能であり,端末機のコスト低減が図られるほか,異なった方式・異種端末機間の通信が可能である,4)コンピュータをネットワークに融合させることによって,地域的な分散処理も可能となり,また,経済性,信頼性の一層の向上が期待される,等多くの利点があり,将来の社会の基幹となるシステムとして,我が国をはじめ各国においてディジタル通信網を効率的に形成するための努力が行われている。

第1-3-17図 通信網のディジタル化の進展

このようなディジタル通信網を形成するためには,異機種コンピュータ間や異なるシステム間の通信を確保するための標準的な通信規約(プロトコル)の確立,データ通信システムにおける安全性,信頼性の確保を図るなどハードウエアとともにソフトウエアの高度化を図ることが必要となっている。以下では,通信技術の基幹となる有線通信技術,無線通信技術及び交換技術の発展の動向を見ることにする。


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