? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第2章 3 (2)]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第2章  社会の各分野における情報化の進展
3.  家庭・生活における情報化
(2)  生活の多様化


戦後国民の生活に大きい影響を与えたものに,テレビの普及がある。戦中,戦後一時中断されていたテレビの研究は,昭和21年から再開され,昭和28年には,NHK及び民間放送会社によりテレビジョン放送が開始された。

昭和30年代には,テレビ受像機の価格も低下し,急速に普及した。一方,昭和35年にはNHKを含む8局がカラーテレビジョン放送を開始し,その後の放送品質の向上,受像機の性能向上と価格低下により,昭和40年代に入って着々と普及していった。

テレビの見られ方については,NHKの世論調査によると,第1-2-25図に示すように見たい番組を選んで見る傾向が強まっている。個人の価値観は多様化しつつあるといわれており,その一つの現れであるといえよう。個人の価値観の多様化の傾向に応え得るものとして種々のニューメディアが挙げられる。同世論調査によれば,これらニューメディアに対しては,第1-2-26図に示すように多様な欲求に応えることが期待されている。ニューメディアには有線系としてビデオテックス,VRS(ビデオ・レスポンス・システム),CATVなど,無線系として文字多重放送など,さらにパッケージ系としてVTRやビデオディスクなどがある。

第1-2-25図 テレビの見られ方の変化

第1-2-26図 ニューメディアへの期待

ビデオテックスは,既存の電話回線を伝送路として,また家庭用のテレビ受像機を表示装置としたものを端末として用い,コンピュータセンターに蓄えられた文字図形情報を一般家庭に設置した端末からのアクセスにより,容易に,かつ安価に利用できることを目指したシステムである。我が国においては,キャプテン(CAPTAIN;Character and Pattern TelephoneAccess Information Network)システムという名称で,昭和54年から郵政省と電電公社が共同で実験サービスを行っており,昭和59年商用サービス開始を予定している。

VRSは,一般のテレビ受像機と専用キーボード等を端末とし,これと画像・音声ファイル装置をもつセンターとを広帯域伝送路で個別に接続して,利用者からの要求に応じて情報を個別に提供するシステムであり,静止画,動画,定時同報動画サービスを行うことができる。電電公社では,昭和52年に同社内を対象として実験サービスを開始し,現在東京都内の博物館,電電サービスセンターや大阪展示センター等に端末を設置して,画像センターとの間を既存の電話用ケーブルに広帯域中継器を挿入した伝送路で結んでいる。

CATVは,センターと各家庭を同軸ケーブルや光ケーブルといった広帯域伝送路で結んだシステムであるということから,テレビ再送信に加えて,さらに広範囲のサービスが可能である。我が国では,(財)生活映像情報システム開発協会が多摩ニュータウン及び東生駒において双方向CATVの実験サービスを行った。現在,(財)映像情報システム開発協会が東生駒における実験サービスを継続中である。また,筑波研究学園都市においては,(財)研究学園都市コミュニティケーブルサービスにより,CATVによるテレビ再送信が開始されているほか,CATVの高度利用に関する開発調査が実施されている。

無線系の文字多重放送は,文字や図形で構成された画像情報をテレビ映像信号に重畳して放送し,テレビ受像機で表示するシステムであり,パターン方式とコード方式とがある。テレビ画面に重畳して表示することもできるので,ニュース速報的なサービスや字幕サービスも可能である。NHKが昭和47年から文字放送の開発を進めており,民放でも各社で研究されている。昭和57年6月の放送法等の改正による制度面の整備を経て,昭和58年10月からNHKがパターン方式によるニュース,天気予報や字幕番組の実用化試験放送を開始した。

パッケージ系のメディアでは,VTRの急速な普及があげられる。VTRの利用としてはテレビ番組の録画が多く,その意味では,現在のところテレビ視聴の延長線上での利用が中心であるとも言えるが,テレビは従来全く受動的なメディアであったものが,VTRの普及により,一歩能動的なものに近づいたとも言えよう。

ビデオディスクは,テレビ受像機に専用プレーヤを接続し,ディスク(レコード盤)に収録した高品質の画像情報を再生するものである。現在のところ,読みだすだけの機能であるが,ディスクであることから,ランダム・アクセス機能をもっておりキーボード操作等により必要な情報を即時に取り出せるような対話型のシステムが可能である。

生活の多様化における一つの動きとして,趣味,娯楽の面でのコンピュータ利用があり,最近ではマイコンを使用した玩具や種々の電子ゲーム,テレビゲームが発売されている。また,パーソナルコンピュータを対象とした趣味も広まっている。


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