? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第2章 3 (1)]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第2章  社会の各分野における情報化の進展
3.  家庭・生活における情報化
(1)  利便性,快適性,安全性の向上


住宅用電話は,昭和40年代に著しい普及を見せており,生活の利便性が向上しマイクロウエーブ利用等による大容量伝送回路などの通信技術の進歩や設備投資により電話加入需要を充足させ,電話機の数で見ると,今やその普及率は,2人に1台という程に一般化した。最近では,通信衛星2号(さくら2号)の打上げにより,小笠原一本土間においても自動即時化が可能となった。一方,プッシュホン,自動着信転送サービス,通話中着信サービス(キャッチホン)などの新しいサービスが登場し,個人向けの移動通信サービスも始まっている。また,電話のキャッシュレス化の方向にあるものとして,近年実用化されたカード公衆電話,コレクトコール,クレジット番号通話サービスを挙げることができよう。

家電機器は,便利,快適,安全及び省エネルギーなどのニーズとともに電子デバイス技術などの進歩によって,ここ数年,急速に電子制御化が進んでいる。このような傾向をマイコン化という点から見ると,第1-2-23表に示すように,主要な家電機器分野で一般化しているといえる。この分野に利用されるマイコン,センサは当然のことながら,安価で量産タイプのものが求められているが,特にセンサ技術の発展が今後のインテリジェンス化の普及の鍵と見られている。

第1-2-23表 家電機器のマイコン化と機能への期待

このような個々の機器のマイコン化に加えて,これらを集合し,家庭にコンピュータを導入して家庭内の機能を一元的に管理することが考えられている。現在,家庭にあるパーソナルコンピュータの大部分は,いわゆるコンピュータ趣味に使用されているが,将来は,このようなパーソナルコンピュータを用いて住宅総合制御システムや防災・防犯システムを構成し,ホームオートメーションを実現することも考えられ,すでに一部のモデル住宅等で初期的な実験がなされている。

社会に定着している情報システムで生活の分野に関係の深いものとして,金融機関のオンラインシステムによる現金自動支払サービスがある。わが国の金融機関において,現金自動支払機が初めて登場したのは昭和42年であるが,昭和40年代の中頃になり,オンラインタイプの支払機が開発され,本格的に採用され始めた。昭和48年に現金自動支払機の金融機関店舗外設置が可能となり,昭和50年には電電公社のデータ通信設備サービスを利用して多数の銀行のシステムとオンラインで結合された現金自動支払機が登場し,共同出資会社によりサービスが開始された。一方各銀行の既設の設備を相互利用するための提携システムについても,電電公社のデータ通信設備サービスを利用した相互銀行間のシステムが昭和53年にサービスを開始したのをはじめ,都市銀行,地方銀行でも実現している。また,電話による残高,振込照会に対し,音声認識,音声合成により自動回答する音声照合通知システム(アンサー)が開発,実用化されている。

近年,開発,実用化されつつあるニューメディアは,例えばキャプテンシステムのように,家庭に多様な情報を提供し得るものとして注目されているが,情報の一方的な提供,受信のみではない対話型システムの普及は,ホームショッピング,ホームバンキングなど家庭と店舗,銀行などを通信回線で直結し,生活の利便性等の向上をもたらすものである。「家庭における情報通信サービスに関する世論調査」によれば,第1-2-24図に示すようにニューメディアの利用についての関心は強く,特に20歳代ではいずれの利用方法についても「利用してみたいと思う」が過半数をしめているなど年齢の若い層ほど強い関心を示している。また,電電公社が東京の武蔵野・三鷹地区で光ファイバー,ディジタル技術等を導入したシステムのモデル実験を実施するためシステム構築等を行っているなど新しいシステムの実現のための準備が進められている。

今後,ホームオートメーション及びニューメディアの家庭への普及を本格化するには,それらに必要な家庭内の情報伝送を効率的に行うホームバスシステム,多様な目的に使用できる入出力端末等の開発が鍵と見られる。また,これらホームオートメーション及びニューメディアに関する開発・普及は,家庭・生活,サービス業の在り方などに大きい影響を与えるものと見られており,安全性,信頼性などにも十分配慮する必要があろう。

第1-2-24図 家庭におけるニューメディアの利用意向


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