? 昭和58年版科学技術白書[第1部 第2章 2 (3)]
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第1部    情報化の新たな展開に向けて
第2章  社会の各分野における情報化の進展
2.  公共分野における情報化
(3)  教育


教育の情報化では昭和30年代に入って進展した小・中学校での視聴覚教育がその渕源とみられ,その後の視聴覚教材の開発普及とともに各種教育,研修の場で利用されるに至っている。最近ではVTRの普及によって,テレビ放送を録画・再生することが容易となっており,ビデオ学習という言葉も生まれている。

また,マスメディアの発達により,これを利用した教育形態が発展している。放送大学は,1969年にイギリスで誕生したが,我が国ではこれよりも遅れて昭和56年に「放送大学学園法」が制定され,現在,開講に向けて諸準備が進められている。

近年,マイクロコンピュータの高性能化,低価格化を背景として,コンピュータを教育の場に利用することについて関心が高まり,CAI(Computer Assisted Instruction), CMI (Computer Managed Instruction),さらには,コンピュータ自体に対する教育などに利用されている。CAIは,学習者の学習理解のためにコンピュータを応用し,個人の適性や理解力に応じた個別教育を可能とするものである。また,CMIは,成績処理,保健データ処理などの情報処理をコンピュータを使って行い,教師に必要な資料を作成,蓄積,提供しようとするものである。

文部省によるマイクロコンピュータの教育利用に関する調査の結果によると,小・中・高等学校におけるマイクロコンピュータの設置状況と利用分野は,第1- 2-17表のようになっている。小・中・高等学校全体ではCMI的利用が多く,ついでCAI的利用とクラブ活動等である。

第1-2-17表 小・中・高等学校におけるマイクロコンピュータの設置状況と利用分野

CAIは,一部の学校での試行の段階であるが,コンピュータによる個別学習を可能とするものであり,コンピュータの教育への利用のなかでも教育の本質に迫るものである。CAIの原型となっているのは,ハードウエアの方ではティーチング・マシン,ソフトウエアの方ではプログラム学習であり,その始まりは米国であるとされている。当初のプログラム学習は,質問と解答をくり返す直線型のものであったが,正答が得られない場合は分岐して学習を進める分岐型のものも考案された。CAIは,このような学習過程に,コンピュータの処理能力を利用しようとするものである。また,コンピュータのグラフィック機能を活用して各種のシミュレーションを教材として利用することも研究されている。

技術的には,安価で便利な小型コンピュータ及び端末の出現などハード面での進歩が著しいが,最適な教授法と学習法の分析,それに基づくより良いプログラムの作成といったソフト面で改善又は開発すべきところが多く,特に,誤答の際の処理にいかにして学習者の過去のデータ,個人的特性を加味していくことができるかという点が今後CAIの普及を決定づける要因と見られている。教師の判断を生かし,人間的触れ合いを保ちつつ,コンピュータによる合理的な教育,学習が行われるようなシステムづくりが必要となっている。

なお,コンピュータ以外にも,実験中のキャプテンシステムや地域CATVを教育に利用する試みが徐々になされるようになっており,今後の学校教育,社会教育における新しい情報技術の活用に期待が寄せられている。


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