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第3部   政府の施策
第2章  政府機関などにおける研究活動の推進
5.  創造的研究開発の推進
(1)  創造科学技術推進制度の創設



(1) 経緯

科学技術立国を志向する我が国にとって,従来の導入技術依存型の体質からの脱却を図り,自らの力で革新技術の源泉となる科学技術のシーズとも言うべきものの探索に努めることが重要である。こうしたシーズ探索のための研究の推進方策について,科学技術会議の総合部会において審議,検討が行われた。審議の結論は部会報告書「流動研究システムによる革新技術シーズの探索研究の推進方策」として取りまとめられ,昭和56年3月9日,科学技術会議本会議に報告・了承された。

科学技術庁は,本報告の趣旨を踏まえて,昭和56年度に流動研究システムによる創造科学技術推進制度を創設し,その推進母体として,新技術の委託開発,開発のあっせん等の業務を通じて大学,国公立試験研究機関の研究者と産業界とを結びつけて企業化開発プロジェクトをオーガナイズする機能とその実績を有していた新技術開発事業団を活用することとした。さらに新技術開発事業団の目的及び業務に革新技術の創製に資すると認められる基礎的研究及びその成果の普及を行うことを加えること,流動システムによる基礎的研究の実施の方法を明記すること及び新技術開発事業団に設置されている開発審議会の機能と委員数を拡大することを主な内容とした新技術開発事業団法の改正を行った(昭和56年3月18日国会提出,5月26日公布,施行)。


(2) 制度の概要

(イ)本制度は,産・学・官にわたる研究者の優れた発想を発堀・登用し,これらの研究者が終身雇用制の長所を生かしつつ組織の壁を越えて創造的研究活動に結集できる「人」中心の新しいシステム(流動研究システム)により,我が国独自の革新技術のシーズを効率的に創出していこうというものである。

(ロ)研究の方法は,以下のとおりである。

1) 卓越した洞察力と指導力とを備え,研究主題について独特の識見を有している者をプロジェクトリーダーとして任命する。プロジェクトリーダーには,一定範囲内で研究運営に関する裁量権を与え,その下で研究の総合的推進を図る(プロジェクトリーダー制)。
2) 産・学・官・海外から,取り上げる研究プロジェクトに関連する研究に従事している優秀な人材を集め,これを研究グループとして組織化する。 研究施設は既設の民間研究所等を活用することとし,国有の研究施設はもたない(人中心の研究システム)。
3) 研究者は,その所属研究機関に在籍のまま,又は,復帰することを前提として,所属機関との調整を図ったうえ契約により一定期間(例えば5年間)研究プロジェクトに参加し,研究終了後研究グループは解散する(一定期間,契約による参加)。
第3-2-8図 創造科学技術推進制度の概要

4) 研究プロジェクトの推進に当たっては,研究者の独創性を活かすため,研究主題の展開に力点を置き,予想されない発見や発明を引き出すことを優先させることとし,研究過程で研究目標を弾力的に変更できるような柔軟な運営を行う(弾力的な運営)。
5) 産・学・官の優れた研究者,特に,民間企業の研究者の参加意欲を促すようインセンティブに関し配慮する。特に研究中に生じた工業所有権等については,新技術開発事業団と発明者との共有とし,研究期間終了後発明者から派遣元への移管を可能としている(インセンティブ)。

(3) 研究プロジェクトの概要

(イ)本制度における研究対象領域の設定に当たっては,科学の究極的目標が物質と生命の本質を究明するものであることを念頭におく必要がある。自然界において物質は他の物質と複雑にかかわり合って生命を生み出し,生命は物質と他の生命と密接に関係しながら高度に進化してきたのであるから,物質と生命という二つの極の間に存在する基本的ないくつかのかかわり合いの型に着目して科学を分類するのが最も自然である。

このような考えに基づき,研究の対象とする具体的なプロジェクトして,昭和56年度には 第3-2-9表 のとおり4主題を選定し,56年10月から事業を開始した。

第3-2-9表 創造科学技術推進制度研究プロジェクトの概要(昭和56年度)

(ロ)各研究プロジェクトは5人前後の研究者から成る平均四つの小グループで構成されており,研究者数は合計20人前後である。また,研究期間は5年間を一応の限度としている。


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