ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   創造性豊かな科学技術を求めて
第3章  創造性豊かな科学技術へ向けての課題
4.  産業界,学界,政府の有機的連携の強化


従来の我が国の科学技術における研究開発は,民間企業,大学,国公立試験研究機関がそれぞれの役割に応じて基礎から応用,開発に至る多様な研究活動を実施してきた。一方,今後,我が国が積極的に取り組んでいくべき創造的自主技術開発においては,長年にわたって積み重ねられた知識と経験の上に立った高度な技術水準が要求される。また,その研究開発の内容も学際的,総合的なものになっている。さらに,先導的・基盤的科学技術におけるように,大規模な研究施設と巨額な資金を要する場合も多い。このような研究開発を効果的,効率的に進めていくに当たっては,民間の研究所,大学,国公立の試験研究機関などがそれぞれ固有の役割を果たすと同時に,基礎,応用,開発の一連の過程において研究に携わる人が交流し,成果である情報を有効に交換する等その頭脳,技術,活力等を結集し,共同研究の推進等その有機的連携を強化することが重要になっている。

このようないわゆる産・学・官の連携の必要性については既に科学技術会議等で指摘されているところであるが,昭和57年1月に公表された学術審議会の「学術研究体制の改善のための基本的施策について(第1次審議とりまとめ)」においても,今後推進すべき施策の方向の中で「社会的協力・連携の強化」として,大学が本来の使命を踏まえつつ,大学の主体性の下に研究の成果の蓄積や研究能力を活用し,社会の各方面と協力していく必要性を指摘している。また,産業界においても,国が民間への委託研究を積極的に活用するなど,民間の創造的な研究開発能力を最大限に引き出すことが重要である旨の提言をしている。

以上のように各界から産・学・官の連携の強化に関し提言がなされているが,国としても従来から大規模プロジェクトの研究開発,総合的研究開発等において産・学・官の共同研究体制を確立して取り組むなどの有機的連携を図ってきた。しかしながら,我が国の場合,縦割りの社会構造,終身雇用制というような制度的特徴を有しており,研究者自体の流動性に乏しく,今後,創造的な研究開発を実施していくためには,このような制約を打破して自由な環境の下で創造的な研究活動を実施していくことが重要である。このような状況の中で,昭和56年度に新たに流動研究システムによる創造科学技術推進制度が創設された。この制度は,組織の壁を越えて産・学・官さらには海外から,独創性に富む優秀な人材を集め,個人の自主性を十分尊重しつつ研究を展開するという「人」中心の研究システムである。この連携方式は創造的自主技術開発を実施していくための従来とは異なった新しい連携方策として極めて有意義であろう。

今後は,科学技術分野全般にわたって,幅広くこの種の有機的連携を強化するとともに,科学技術の進展に即応した産・学・官の有機的連携方策の樹立に努めていく必要がある。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ