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第1部   創造性豊かな科学技術を求めて
第3章  創造性豊かな科学技術へ向けての課題
2.  革新技術のシーズの探索・育成


自主技術の開発を目指し,創造的自主技術の創出を図っていくためには,研究者の自由な発想と創造性豊かな活動を中心として展開される基礎研究の積極的推進が不可欠であるとともに,基礎研究の成果の蓄積を基に,革新技術のシーズを探索し,これを育成していくことが,基本的な技術において水準が低いと言われている我が国の科学技術にとって極めて重要である。この革新技術のシーズは主として科学的知見に基づき人間生活への応用への可能性が明らかにされているものの,その具体化の方法手段がまだ実現していないものである。しかし,いったん実現されれば,革新性が極めて高く,広い波及効果が期待されているものである。

一時期,世界的にこの種の革新技術の出現が停滞しているのではないかと言われていた。このことを,米国の国立科学財団(NSF)の委託調査によって,1953年から1973年までに生まれた世界の代表的な技術革新(イノベーション)のうち根源的な革新性をもつ97件がいつ生まれたかを5年ごとに四つの期間に区切ってみると,最初の1953〜58年には32件であったが,その後の各5年間では25件,24件,16件と減少しており,世界全体としては画期的な革新技術が減少傾向にあったことがうかがえる。しかしながら,最近においては,エレクトロニクス分野をはじめとして,ライフサイエンス分野,材料科学技術分野等において革新技術の息吹きが見られ,先進各国においてこのような分野における研究開発が活発化している。

一方,革新技術のシーズの探索・育成は,長期の研究期間を要し,かつ,リスクも非常に大きいため,民間では手がけにくい分野が多い。このような状況に対応して,昭和56年度から政府は創造科学技術推進制度及び次世代産業基盤技術研究開発制度の二つの新しい施策を打ち出した。創造科学技術推進制度は,「人」中心の新しいシステムによる創造的研究活動により我が国独自の革新技術のシーズを効率的に創出していこうとするものであり,次世代産業基盤技術研究開発制度は1990年代に開花が期待される次世代産業の確立に必要不可欠な波及効果の大きい基盤技術の研究開発を特に推進しようとするものであり,積極的な活用が期待される。

このような革新技術のシーズの探索・育成に向けて新たな施策が創設されたことは国として創造的自主技術開発の必要性を強く認識していることを示すものであり,今後ともこの種の施策を拡充・強化していくことが重要であろう。


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