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第1部   創造性豊かな科学技術を求めて
第3章  創造性豊かな科学技術へ向けての課題
1.  研究開発投資と研究関係人材の充実


我が国の研究費は最近10年間では欧米先進諸国を上回る勢いで伸びた。これを国民所得に対する比率で見ても,昭和45年度には1.96%であったものが,49年度には2.16%となり,その後53年度まで横ばい傾向にあったものの54年度以降再び上昇に転じ,55年度には2.42%と過去最高の水準となった。

しかし,この水準は依然として米国,西ドイツ,イギリスには及ばず,しかも最近二,三年間を見れば,欧米諸国の研究費の対国民所得比は,それまでの停滞傾向を脱して上昇し始めたことに注目しなければならない。特にフランスでは1982年に制定された科学技術振興法において研究費を対国内総生産比にして1980年の1.8%から1985年までに2.5%(対国民所得比に換算すると約2.8%に当たる。)に拡大する目標を掲げていることなどに見られるように,各国とも停滞する経済の再活性化のために科学技術の振興に力を入れ,そのための投資を増大させる傾向にある。

このような点を考慮し科学技術の今後の重要性を考えると,我が国の研究開発投資を科学技術会議が長期的目標として掲げている対国民所得比3%の水準に引き上げることを目指して一層の努力が必要となろう。

このような研究費の量的確保とともに,創造的自主技術開発を推進していくためには,質的な面,特に基礎研究,先導的・基盤的科学技術分野における研究費の充実が望まれる。これらの分野には基本的には政府が主体となって推進しなければならない分野が多いが,この観点から研究費の官民分担を見ると,我が国が経済の安定成長期に入った昭和50年度以降政府負担研究費も民間負担研究費もともに対前年度比でおおむね10〜13%の伸びを示してきたが,54年度,55年度には民間負担研究費は15%増,18%増と増加したのに対し,政府負担研究費は逆に11%増,9%増と伸び率が下がっている。その後も,技術革新の進展を背景として民間の研究開発投資意欲は衰えていないが,国の科学技術関係予算は財政再建という厳しい状況の下で昭和56年度,57年度は対前年度伸び率が8.2%,3.5%と低下している。今後とも国の財政事情は厳しい状況で推移すると考えられるが,このような中にあっても,創造的自主技術開発を重視した国の研究開発投資の適切な水準を確保することが望まれる。

次に,研究費と並んで研究開発の二大投入資源の一つである人材について見てみよう。

我が国,の研究者数はここ10年間に着実に増加し,人口1万人当たりの研究者数でも昭和45年の16人から56年には27人となった。これはソ連を除く主要先進国の中では米国に次いで高い水準にあると言える。今後も研究者及び研究者を支援するその他の研究人材の量的確保を図ることも重要であるが,これとあわせて,今後は,革新性の高い技術を生み出すなど基礎的な分野でも優れた水準を達成することが重要となっていること及び科学技術の狭い分野でなく多分野を総合する必要が増大していることにかんがみ,特に創造性に富む人材,総合性に富む人材の育成がますます重要となっている。このためには,学校教育や職場における継続教育において個人の創造性を育むとともに研究者の創造的能力を最大限に生かす研究環境を整備するなどの積極的な対応が必要であろう。


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