ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   創造性豊かな科学技術を求めて
第2章  自主技術開発への展開
第2節  自主技術開発へ向けての研究開発の動向
2.  民間企業における研究開発


これまで投入資源を中心に我が国全体における研究開発の最近の動向を述べたが,ここでは国全体の研究開発の中でも大きな比重を占める民間において企業が研究開発に対してどのように考えているか,また,我が国全体の課題ともなっている自主技術開発にどのように取り組もうとしているか,の二点を検討してみよう。


(1) 研究開発の重視

企業の長期的な経営戦略の中で研究開発はどのような位置づけにあるのだろうか。このような研究開発に対する企業の意識を示したものが 第1-2-6図 である。これによれば,企業の長期的な経営戦略上最も重要なこととして産業全体では「技術開発力の向上」が第1番に挙げられている。特に製造業ではその比率が高く,技術開発にかける意欲が強いことを示している。これは,今後企業が厳しい経営環境下で生き残り,発展を続けていくためには技術開発をおいてほかにはないとの認識の下に,技術開発を経営の戦略として掲げ積極的に取り組んでいこうとしているものと考えられる。

第1-2-6図 長期的な経営戦略として最も重要と考えていること

以上のように企業は長期的な経営戦略上技術開発力の向上が最も重要と考えているが,このための研究開発投資を将来どの程度行うかの見通しについて 第1-2-7図 で見ると,昭和60年度の研究費の対売上高比率は55年度に比べ,全産業では「かなり上がる」が15%,「やや上がる」が51%で,これらを合わせると企業の3分の2が今後も研究開発投資を増加させる必要性を認めている。業種別では,電気機器,自動車・同部品,造船,精密機器等の加工組立型業種では「かなり上がる」とする企業の割合が高く,研究開発に対する積極的な姿勢がうかがわれる。

第1-2-7図 売上高に対する研究開発費比率の見通し(昭和60年度)

企業は経営戦略上最重点として研究開発を進めようとしているが,これを支える研究者の需要動向を 第1-2-8図 で見ると,企業が今後採用を増やしたいと考えている大学学部及び大学院の理工学部系の卒業者の専門分野は電気・通信がトップとなっており,約半数の企業がこれらの分野の卒業者を採用したいと考えている。これは技術進歩の激しいエレクトロニクス技術に対する需要が強いことによるものであろう。また,約1割の企業が博士課程修了者を採用したいと考えている。ここでも電気・通信関係が最も多いが,これに薬学,生物が続いている。これは,今後の産業においてライフサイエンス関係の高度な研究人材が必要となることを示すものであろう。このほか化学(理学),数学・物理などの基礎科学の分野に対する要請も強いことが注目される。

第1-2-8図 企業が採用を増やしたい専門分野

以上のように,企業は今後の長期的な経営戦略の最重点課題として技術開発を掲げ,将来的には研究開発投資を増やし,また先端技術分野を中心として研究者も増員していこうと考えており,研究開発に対する積極的な姿勢が見られる。


(2) 自主技術開発への取り組み

今まで見てきたように,企業は将来において研究開発に力を入れていこうとしているが,現在課題となっている自主技術開発にはどの程度力を入れようとしているであろうか。経済企画庁が昭和57年に実施した調査によれば,全産業では68%,製造業のみでは78%の企業が今後の研究開発において「どちらかといえば自主技術開発に重点を置く」と考えており,その理由としては 第1-2-9図 に見られるように「自主技術開発の方が総合的にみて収益性が高い」が最も多く,以下「技術導入すべきものがなくなり,自ら創造する必要がある」,「技術導入が難しくなった」の順となっている。このように企業が多くを依存してきた海外の技術が従来のように容易に手に入らなくなったことを反映して,技術を自ら開発することが必要となり,また長期的総合的に見ればこの方が企業にとって有利になったと考えられていることが分かる。

第1-2-9図 自主技術開発に重点を置く理由

では独創的自主技術開発が必要であると考えている企業はどのような具体的な方策を考えているであろうか。これを示したものが, 第1-2-10図 である。これから分かるように独創的自主技術開発を推進するためには,研究者,研究費を増やすことはもちろんのこと,長期計画の樹立,他機関との連携,研究体制の整備など総合的な方策が必要となることを示唆している。以上我が国の企業においては技術導入の困難化などの情勢の変化に対応して,自主技術開発に対し積極的な姿勢をとっていることが分かる。

第1-2-10図 独創的自主技術開発の具体的促進策


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ