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第1部   創造性豊かな科学技術を求めて
第1章  科学技術の成果とその特徴
第2節  技術貿易構造に見る科学技術の特徴
3.  業種別の技術貿易動向


技術貿易においては,製造業の比重が極めて高く,製造業を見ることによって技術貿易全体の動向を把握することが可能である。製造業の技術貿易額の推移を 第1-1-29図 に,技術貿易における各業種の占める割合の変化を 第1-1-30表 に,業種別の技術貿易収支比の変化を 第1-1-31表 に示す。

昭和46年から55年までの間に,製造業の技術輸出額は約6倍に,技術輸入額は約1.8倍に増加している。技術輸出額については,化学工業の占める割合が一貫して最も高く,最近では鉄鋼業,電気機械工業及び輸送用機械工業がそれぞれほぼ同じ割合で化学工業に続いている。また,電気機械工業及び輸送用機械工業が技術輸出総額に占める比重は次第に増大しており,特に電気機械工業の対欧米輸出に占める割合は,昭和53年〜55年には鉄鋼業よりも大きくなっている。

第1-1-29図 製造業の技術貿易額の推移

第1-1-30表 技術貿易の業種別構成割合の変化

第1-1-31表 業種別の技術貿易収支比の変化

一方,技術輸入については,各業種の割合にほとんど変化が見られず,電気機械工業の占める割合が最も高く,輸送用機械工業,化学工業,一般機械工業と続いており,鉄鋼業の占める割合は低い。

次に,技術貿易に占める比重の高い各業種ごとに,技術貿易収支を通して特徴を見ることにする。

まず,化学工業については,技術輸出総額に占める割合が次第に減少しているものの依然としてその割合は高く,特に対欧米分については全体の40%以上を占めている。技術貿易収支を見ても,総額で均衡に近づきつつあり,新規契約分では大幅な黒字になっている。これは,尿素製造技術,各種合成樹脂製造技術,ブタン・ブテン分離技術等が国際的に高く評価されているためと考えられる。しかし,対欧米分の技術貿易収支については依然としてかなりの赤字になっている。

鉄鋼業については,その世界最先端の技術水準を反映して,技術貿易収支が総額,新規契約分とも大幅な黒字になっている。また,対欧米分については,老朽設備の更新,高炉操業技術指導,最新鋭連続鋳造技術の供与,高い効率の生産設備に関する特許,ノウハウの提供が増加しており,技術貿易収支は均衡に近づいている。

一方,近年我が国の国際競争力が強くなったとされている電気機械工業及び輸送用機械工業の技術貿易収支は,昭和53〜55年における新規契約分で輸送用機械工業がようやく黒字になったものの,総額では赤字であり,特に対欧米分において大幅な赤字になっている。すなわち,電気機械工業及び輸送用機械工業の国際競争力の強さは,主として生産技術水準の高さによるものであって,必ずしも欧米先進国に輸出できるような自主技術が多いことによるものではないと言えよう。

技術導入の内容については,電気機械工業においては従来から我が国が遅れていると言われているコンピュータ関連のソフトウェアが多く,また,輸送用機械工業においては,航空・宇宙関連の技術導入が目立っている。しかしながら,技術貿易収支比の推移を見ると,この両業種とも,着実に改善されてきており,最近のエレクトロニクス技術,自動車関連技術等の成果が反映されていると見られ,特に輸送用機械工業のうち自動車工業の総額における技術貿易収支は昭和53〜55年において均衡に近づき,化学工業に迫る勢いである。対欧米の技術貿易収支も次第に改善されてきてはいるが,依然として水準は低い。

以上のように産業の国際競争力の強さが直接技術貿易収支に反映されている鉄鋼業のような業種もあれば,電気機械工業や輸送用機械工業のように生産技術の向上によって競争力をつけたものの,依然として技術貿易収支は赤字であり,かなりの技術を外国から導入している業種もある。このように業種によって差異はあるものの製造業全体として見れば,次第に改善されつつあるがまだまだ技術導入体質であり,世界に通用する自主技術は相対的に少ないと言えよう。


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