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第1部   創造性豊かな科学技術を求めて
第1章  科学技術の成果とその特徴
第2節  技術貿易構造に見る科学技術の特徴
2.  技術貿易収支


近年,我が国の科学技術の水準が欧米先進国に迫り,我が国独自の研究開発成果も徐々に現われてきた結果,我が国の技術もかなり外国へ売却できるようになってきている。こうした様子を技術輸出額と技術輸入額の比率である収支比で見てみると, 第1-1-27図 に示すとおり,我が国の収支は依然として赤字ではあるが,技術輸出額の伸びに伴い緩慢にではあるが改善されてきている。

他の主要国の収支を見ると,米国はその技術的優位性を示すかのごとく大幅な黒字であり,イギリス及びフランスも黒字基調である。一方,西ドイツは終始赤字であり,横ばい傾向になっているが,我が国と比較すると赤字の度合が小さい。

第1-1-27図 主要国の技術貿易収支比の推移

技術貿易の契約は,当該技術の使用料として技術を利用した製品の売上高の一定比率分を長期間にわたって支払う条件のものが多いため,売上高の増加に伴いこの使用料が増加することもあり,過去の契約による影響が後年の技術貿易収支に現れてくることが多い。したがって,特定の時点での技術の売買の動向を知るには当該年度に新たに契約を行った技術貿易の新規契約分の収支を見るのが有効である。この新規契約分では,我が国は1972年以降黒字となっている。

このように,我が国の技術貿易収支は,赤字ながらも収支比が改善され,新規契約分では黒字を続けていることから,近年では技術導入一辺倒から脱却し,我が国の自主技術がかなり輸出されるようになってきていると言えよう。

しかし,これをもって我が国が技術導入体質から抜け出し,自主技術の研究開発面で先進国並になったと見ることはできない。技術貿易の収支構造について, 第1-1-28図 を見ると,技術輸入については,各国とも先進国からのものが圧倒的に多く,ほとんど差異は見られないが,技術輸出については,我が国以外の主要各国では大部分が先進国向けであるのに対し,我が国の技術輸出における先進国向けの割合は約4割程度に過ぎない。すなわち我が国の技術輸出については,技術協力やプラント輸出を中心とする開発途上国及び中進国向けが多く,先進国に対する技術輸出比率はまだ小さいと言えよう。

このように我が国は先進国から技術を導入し,これを応用,改良して我が国独自の技術とし,これをもって開発途上国及び中進国へ技術輸出しているケースが多い反面,先進国へ売却できるような技術はまだ少なく,そうした自主技術の研究開発面で遅れていると言えよう。

第1-1-28図 主要国の技術貿易収支構造


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