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第3部   政府の施策
第2章  政府機関などにおける研究活動
4.  多分野の協力による研究開発の推進
(3)  宇宙開発


近年,宇宙技術の急速な進歩により,宇宙空間は人類の新たな活動領域として登場してきており,科学衛星及び通信,気象などの実利用衛星を始め,有人衛星,有人月探査,惑星探査などが次々と実現され,もはや宇宙空間の利用は人類の発展に欠くことのできないものとなっている。

また,地球上の水,空気,土地利用などの状況調査を含む広い意味での利用が進められており,宇宙開発は,環境監視や資源探査においても大きな役割を果たしつつある。


(1) 国外の動向

宇宙開発の分野において最先進国である米ソ両国は,惑星計画や有人飛行を始めとする各種の宇宙開発活動を展開している。これまで,両国は,スプートニクからアポロまで,国家の威信をかけて開発競争を展開してきたが,現在は,それまでの開発競争の成果を通信,気象,地球観測を始めとする各種の分野に応用し,実利用に重きをおいた活動を行うようになってきている。

第3-2-10表 国別,種類別人工衛星等打上げ成功数


特に,米国は,このような宇宙開発活動の一層の促進を図るため,より安価かつ大量の輸送手段の確立を目指し,再使用可能なスペースシャトルの開発を進めており,1981年春には初飛行を,また1982年には本格的な運用を開始しようとしている。また,ソ連も自国の輸送手段の充実を図り,スペースシャトルに対抗する計画を進めているといわれている。

第3-2-11表 各国の宇宙開発予算の推移

一方,西欧諸国は,共同して宇宙開発を進めており,欧州宇宙機関(ESA)を設けて,有人宇宙実験室スペースラブの開発計画を進めるとともに,通信,放送,気象,地球観測等各種の実利用衛星計画を進めようとしている。また人工衛星打上げ用ロケットであるアリアンロケットの開発については,1979年12月に1号機の打上げに成功し,1980年5月の2号機の打上げには失敗したものの,現在,第3号機以降の打上げ準備が進められている。

東欧諸国はソ連との協力のもとに有人飛行を行うなど各種の計画を進めており,インドも,1979年にはソ連のロケットにより地球観測衛星を打上げたほか,1980年7月には独自の衛星打上げ用ロケットの打上げに成功している。一方,中国は,これまで自国のロケットにより科学衛星等の打上げを行ってきたが,今後米国等とも協力して通信・放送衛星等の開発も進める予定である。

更に,カナダ,インドネシアが米国のロケットにより国内通信衛星を打上げ,運用を行っているのを始め,アラブ諸国,ブラジル等の計画も進行しつつあり,国際的な機構であるインテルサットの加盟国は105を数え,衛星を利用する239(1980年11月1日現在)の地球局が運用されている。なお,各国の人工衛星等の打上げ実績及び各国の宇宙開発関係予算の推移を 第3-2-10表 及び 第3-2-11表 に示す。


(2) 我が国における宇宙開発

我が国における宇宙開発は,宇宙開発委員会が昭和53年3月,以後15年程度にわたる我が国宇宙開発の指針を示すため策定した「宇宙開発政策大綱」に沿って毎年同委員会が定める「宇宙開発計画」に従い,宇宙開発事業団,東京大学宇宙航空研究所を中心とする関係機関の協力のもとに推進されている。

具体的には,我が国の人工衛星及びロケットの開発は,科学研究の分野については東京大学宇宙航空研究所が,実利用の分野については宇宙開発事業団がそれぞれ担当して実施しており,昭和45年に試験衛星「おおすみ」を打ち上げて以来,昭和56年2月までに22個の人工衛星を打ち上げている。

我が国における衛星及びロケットの開発実績並びに今後の開発計画を 第3-2-12表 ,第3-2-13表 に示す。

第3-2-12表 我が国の人工衛星打上げ実績及び計画



第3-2-13表 我が国のロケット開発実績及び計画


昭和55年度における活動は次のとおりである。

a.科学研究の分野については,昭和53年9月に打上げた第6号科学衛星「じきけん」及び昭和54年2月に打上げた第4号科学衛星「はくちょう」によるX線星等各種の観測を引き続き行うとともに,昭和56年2月M-3Sロケット2号機により第7号科学衛星「ひのとり」を打ち上げ,太陽フレアの観測をはじめとする各種の観測を行っている。また,第8号科学衛星(ASTRO-B)及び第9号科学衛星(EXOS-C)の開発を進めるとともに,米国及び欧州宇宙機関(ESA)が協力して行う第1次スペースラブ計画に参加して「粒子加速装置を用いた宇宙科学実験(SEPAC)」を実施するため,引き続き粒子加速装置等の塔載機器の開発を行った。
b.観測の分野については,昭和52年度に打ち上げた静止気象衛星「ひまわり」及び電離層観測衛星「うめ2号」を運用し,それぞれ所期の観測を行った。また,静止気象衛星2号(GMS-2)及び海洋観測衛星1号(MOS-1)の開発を行うとともに,測地衛星について所要の開発研究を行った。そのほか,米国の地球観測衛星(ランドサット)を対象とする受信処理施設の運用を行った。
c.通信の分野では,実験用静止通信衛星「あやめ」に引き続き静止軌道への投入に失敗した実験用静止通信衛星「あやめ2号」について宇宙開発委員会を中心に原因の究明,今後の対策について検討を行った。 また,昭和52年12月に打ち上げた実験用中容量静止通信衛星「さくら」及び昭和53年4月に打ち上げた実験用中型放送衛星「ゆり」を運用し,それぞれ衛星通信,衛星放送の実験を行った。なお,「ゆり」による実験は,約2年間にわたって順調に続けられてきたが,昭和55年6月17日にテレビジョン信号を伝送するためのトランスポンダの機能が停止したため,その後は,衛星放送に用いる電波の伝搬特性,衛星の軌道位置,姿勢制御に関する実験等を継続して実施している。 さらに,通信衛星2号(CS-2a,CS-2b)及び放送衛星2号(BS-2a,BS-2b)の開発を行うとともに,移動体通信技術衛星等について研究を進めた。
d.宇宙実験の分野では,昭和55年9月及び昭和56年1月にTT-500A型ロケットを用いた小規模の材料製造実験を行った。2回目の実験においては,実験装置を塔載したロケット頭胴部の回収に失敗したものの,いずれの場合でも材料製造実験に関しては種々の良好なデータを得ることができた。 また,スペースシャトルを利用する宇宙材料実験について調査研究を進めた。
e.人工衛星系共通技術の分野では,昭和56年2月にN-IIロケットの打上げ性能確認等を目的とした技術試験衛星IV型「きく3号」を打ち上げた。 また,三軸姿勢制御技術の実験等を行う技術試験衛星III型(ETS-III)について引き続き開発を進めた。
f.輸送系共通技術の分野では,東京大学宇宙航空研究所が,第7号科学衛星(ASTRO-A),第8号科学衛星(ASTRO-B)及び第9号科学衛星(EXOS-C)の打上げ用として,M-3Hロケットの第1段に推力方向制御装置を装着したM-3Sロケットの開発を行うとともに,昭和56年2月に,その2号機により第7号科学衛星「ひのとり」を打ち上げた。 一方,宇宙開発事業団では,技術試験衛星III型(ETS-III)の打上げ用としてN-Iロケットを開発するとともに,技術試験衛星IV型(ETS-IV),静止気象衛星2号(GMS-2),通信衛星2号(CS-2a,CS-2b)及び放送衛星2号-a(BS-2a)の打上げ用として重量約350kgの静止衛星を打ち上げる能力を有するN-IIロケットの開発を行い,昭和56年2月にその1号機により技術試験衛星IV型「きく3号」を打ち上げた。更に,液体酸素・液体水素を第2段の推進薬に用い,重量500kg以上の静止衛星を打ち上げる能力を有するH-Iロケットについて開発研究を進めた。
g.我が国の宇宙関係予算の推移を 第3-2-14表 に示す。
第3-2-14表 宇宙関係予算の推移


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