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第1部   世界の中で
第3章  重要研究開発の国際比較
第3節  材料技術
1.  材料開発の意義と今後の方向


産業の発展は,機械装置及び材料の発展をうながし,新材料の出現は産業自体の革新を可能ならしめてきた。

例えば,エネルギー機械とそれを構成する材料の歴史は,高温,高圧下等の過酷な条件に耐え得る材料の開発がエネルギー機械の発明と並行して進み,産業革新に寄与し,また今日の情報産業の発展も半導体の出現,その後の半導体材料の製造技術及び精密加工技術の発展による集積度の急速な向上等によるところが大きい。そして情報産業の発展と共に固体物理学も進歩し,光―電気,熱―電気,力―電気などいろいろなエネルギー変換機能を持った材料=センサー 注3) ・トランスデューサー 注4) =がつぎつぎに開発され,これは通信技術をはじめ加工技術,計測技術など現在あらゆる分野に使用されている。


注1)電子素子を絶対零度(約マイナス273°C)に近い極低温まで冷やすと,素子の作動速度が光速近くまで速まるという効果を利用した高速作動素子で,これを利用すると,現在のコンピュータとは比べものにならないくらい小型かつ超高速のコンピータが可能となるといわれている。


注2)従来の半導体素子とは異なる構造で超高速動作の可能な素子,従来の平面型の素子を重ね合せた集積度の高い素子,放射線や宇宙線の当たる特殊環境の下で使用できる素子等の新しい機能を有する素子の総称である。


注3)熱,光,圧力,気体等の外部からの刺激に反応して,作用を起こす(=検知する)機器。


注4)光や音等のエネルギー信号を電気エネルギー信号等に変換して取出す機器。

更に視点を変えれば,新エネルギー源として研究開発中の核融合については,1,000°Cあるいは,それ以上の高温での材料の機械的強度,中性子照射損傷などの耐久性に関する問題,プラズマを閉じ込める超磁界を現出させる大型マグネット材料の開発など,材料問題の解決が核融合炉開発成功の鍵をにぎっており,また,温度が絶対零度に近づくとある種の金属及び化合物の電気抵抗値は急激に消失し,超電導現象を呈するが,この現象を起こしやすい材料が開発できれば,核融合,磁気浮上列車,ジョセフソン素子等に利用できる等,超高温,極低温,超高圧,極真空などの極限技術関連の材料開発もその将来は無限に広がっている。

このようななかで,今後の材料開発の方向は,個々の材料の発明,発見をうながす地道な基礎研究を促進すると同時に,技術の応用,組立,集積,総合化を促進し,材料の持つ機能をより高度化させ,より上手に使って行くことにある。そして機能を高度化するためには,超高温,極低温,超高圧,極真空といった極限技術を駆使し,高度に精選された原料を用い精密に製造・加工する必要があり,また,この材料の使用環境も極限環境が用いられる。

これらに対処するためには,原料の供給,製造・加工装置及び信頼性等の試験装置の供給といった巨大な基盤産業の存在及び一定規模以上の大きさの需要産業の存在,そしてそれらを動かし,かつ同時進行的に研究開発を進めていける膨大な人材群が必要である。つまり,超電導,IC,磁気バブルメモリー,ジョセフソン素子,アモルファスシリコン太陽電池等の発想はいずれも欧州でなされたにもかかわらず,主に米国でその開発の糸口が得られているように,これからの材料開発には一国の科学技術能力,工業力の総合力が要求されるのである。


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