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第1部   世界の中で
第2章  主要先進国の科学技術振興施策
第6節  日本
7.  重要研究開発分野


研究開発活動により生み出される新たな知見,成果は,我が国の将来の社会を築く上で大きな貢献をなすものであり,したがって研究開発活動は幅広く推し進められることが必要である。しかし,研究分野の専門化,細分化が進み,研究開発の大型化総合化の傾向が著しい現在,限られた人材及び資金の範囲内においてその効力を最大限に発揮するためには,社会,経済などからの要請が強くその成果が国民の生活全般に及ぶものあるいは科学技術の基礎を支えるもの,他の分野への波及効果の大きいものに重点をおいて進めることが不可欠である。

科学技術会議はこのような考え方に立って,推進すべき重要な研究開発分野として次のものを掲げている。

(1) エネルギー,食糧,原材料及び水資源等の諸資源を確保し有効利用を図る科学技術

(2) 環境の保全,安全の確保等望ましい生活環境の整備に資する科学技術

(3) 健康の維持,増進,高齢化社会への対応と社会復帰の促進,医療需要の増大と多様化への対応等国民の健康の維持,増進に資する科学技術

(4) 新たな技術革新のシーズを育て,多くの科学技術の進展を先導する役割を果たし,多くの研究開発を支える先導的・基盤的な科学技術先導的・基盤的科学技術として,当面以下の分野の研究開発を推進する。

1) 宇宙開発・航空技術
2) 海洋開発
3) ライフサイエンス
4) 極限科学技術
5) 材料科学技術
6) 情報・電子技術
7) ソフトサンエンス

(5) 国際協調に資するとともに国際競争力の確保に資する科学技術

このように,特にその推進が要請される研究開発については,いわゆる経常的な研究開発以外に総合海洋科学技術開発(科学技術庁),大型工業技術研究開発(通商産業省),新エネルギー技術研究開発(通商産業省),省エネルギー技術研究開発(通商産業省)等の総合的研究開発により国が中心となり学界や産業界との共同研究体制のもとに取り組んでいる。また,特に推進する必要のある特別な研究のうち多領域にまたがる試験研究,境界領域に属する試験研究については特別研究促進調整費(科学技術庁) 注) により,研究の推進を図ってきた。


注)特別研究促進調整費は昭和56年度から発展的に解消し,新たに科学技術振興調整費が計上された。また昭和56年度には次世代産業基盤技術の研究開発費(通商産業省)も計上された。

以上我が国を含めた主要先進国の科学技術施策を紹介したが,主要先進国においては,ここ数年,研究開発投資の上昇が見られ,科学技術を国の重要施策に含めるなど再び科学技術に力を入れ始めている傾向がうかがえる。研究費についてみると,我が国は当面国民所得の2.5%(長期的には3%)を目指しているが,各国とも研究開発投資の充実に努めている。一方,近年の経済成長の鈍化による研究費の制約及び研究開発の大規模化等に対応すべく各国とも民間企業と国の研究機関,大学が共同で研究プロジェクトに取り組むなど,産・官・学の有機的連携の強化を図っている。

また,主要先進国が力を入れている重要研究分野についてみると,我が国はじめここに取り上げた全ての先進国が,エネルギー関連技術,エレクトロニクス,ライフサイエンスを掲げており,これらの研究分野は各国の科学技術の現状に関係なく必要欠くべからざるものと考えられ,したがってこれらの分野については今後国際競争がますます厳しくなるものと予想される。

さらに,大部分の主要先進国が国際競争力に勝る産業を育成し世界市場において一層優位な地位に立っために,これらの産業に関連する科学技術を重要分野として取りあげている。

科学技術の国際協力についても各国とも力を入れており,我が国同様特に大型の研究など膨大な資金を要する研究については,各国とも先進国と積極的に国際協力を図ることとしている。一方,開発途上国との交流に関する考え方についても,開発途上国の科学技術に対するニーズのは握を十分に行ったうえで実施するなどほぼ我が国と同様の考え方に立って進められている。しかし,国際協力の相手国については,イギリス,フランス等がEC諸国,英連邦諸国,フランス語圏諸国等との協力を柱の一つとするなど従来から関係の深い諸国との協力を図るという特徴がみられる。

以上のように主要先進国はその科学技術の実態の違いにもかかわらず互いにかなり似かよった施策を策定している部分もあるが,研究開発基本計画,基礎科学の振興など異なっている部分も多い。

研究開発基本計画に関しては,我が国では,先の「長期的展望に立った総合的科学技術政策の基本についてに対する答申」(第6号答申)等のように科学技術会議が科学技術一般に関する基本的かつ総合的な政策を樹立している。さらに,政府の経済運営の指針として決定されている「新経済社会7ヵ年計画」においても自主技術開発力の強化が取りあげられ,その施策の基本方向等が盛り込まれている。フランス,ソ連においても国全体の社会経済の基本的計画である「経済社会発展5カ年計画」及び「国民経済発展5ヵ年計画」に科学技術の振興も社会経済発展のための一環としてとり入れられており,さらにフランスにおいては,研究総務庁により「研究10ヵ年計画(1981〜90年)」が定められ,研究投資の合理的統合的な運営を目的として,大プロジェクト等の設備投資に関する財政援助が決められている。

一方,米国,西ドイツは全体的な基本計画は持たないものの,エネルギー等重要研究分野については我が国同様の基本計画が策定され,それぞれの計画に基づいて研究開発が推進されている。

また,第1章で見たように,積極的に技術導入を図ってきた我が国及び西ドイツにおいては,自主技術開発力を強化すべく基礎研究の振興を重点としているが,ノーベル賞の受賞者数でも見られるように従来から基礎研究が強いイギリスにおいては,特に基礎研究の成果を産業界で活用するための施策がとられている。各主要先進国の重要研究分野については,各国ともエネルギー関連技術等3分野を共通にとりあげていることを述べたが,同じエネルギー関連技術でも,我が国同様にエネルギーの自給率が低く対外依存度が高いフランスでは原子力エネルギーに力を入れているが,石炭が豊富な西ドイツにおいては石炭のガス化等も重視されている。


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