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第1部   世界の中で
第2章  主要先進国の科学技術振興施策
第4節  イギリス
1.  科学技術体制


イギリスにおいては,国の実施する研究開発の体制,方針等の見直しが行われたのは1970年代の初めからである。この見直しは国全体の行政機能をより効率的なものにするために,政府により政府行政機構の再編成の一環として行われている。この見直しのため,政府は作業グループをつくって検討し,その結果,顧客一請負制度,主任科学官(Chief Scientist)機構を設立するなどの行政機構改革を行い,研究開発委託等の実施方式の確立や研究開発ニーズの明確化を図っている。

イギリスにおいて,事実上の研究目標の設定等をしているのは,基礎研究開発の場合は,教育科学省に属する科学研究会議等の五つの研究会議や大学等主に基礎的研究をつかさどる機関が実施している。それら機関に政府資金を配分する責任を有するのは教育科学省である。応用研究開発の場合は,関係省庁が所管内の業務に密接に関連するものについて,独自の方針で実施している。これらの関係省庁を助けるために他の主要先進国に類を見ないほど多くの各種諮問委員会等が存在し,幅広い分野の行政組織の政策策定に深くかかわっていることも特徴のひとつとしてあげられる。

また,1976年には,関係省庁間の研究開発についての総合調整を図るための機構が設けられている。

ひとつは,研究開発と科学技術問題の全般について,政府の考え方を科学技術政策の優先順位に反映させる調整機能をもった主任科学官及び常設事務局委員会(Committee of Chief Scientist and Permanent Secretariates)であり,他方は,すべての応用研究開発の振興と関連する国際協力に関し,関係大臣に提言を行うための,産業界,官界,学界の幅広いメンバーからなり,内閣官房の諮問機関である応用研究開発諮問委員会(Advisory Council for Applied Reserch and Development:ACARD)である。

ACARDでは,イギリスの産業界の国際競争力を育成するために必要な措置について,競争力強化を阻害する要因等の現状と今後とるべき方向に焦点をあてて検討し,種々の勧告を出している。エレクトロニクス分野においては,ACARDの報告書のひとつである「産業技術革新」の中で,産業戦略の主要要素である技術革新を推進することの重要性を認識し,新しい企業の産業社会における役割を重視し,これを基にして技術革新を進めていく必要があるとしているが,この勧告が引き金となって,イギリス産業界の救世主となるといわれ,技術的最先端分野でもあるエレクトロニクスの新しい国営企業が創設された。この企業は,NEBから支出された5,000万ポンドとイギリスから外国へ頭脳流出していた人材を集めて始められ,国の総力をあげて超LSI生産を開始する計画やマイクロプロセッサーを取扱うことを目標に研究開発が進められている。


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