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第1部   世界の中で
第2章  主要先進国の科学技術振興施策
第4節  イギリス


最近,イギリス政府は「インフレが諸悪の根源である」とのスローガンのもとに超金融引締策をとり,消費者物価指数の上昇率は前年同月比15%前後に落ちたが,企業の設備投資と消費活動を大幅に縮小させた。

また,北海油田の開発により,石油の自給率が高まり,輸入が減少したため,経常収支が1980年初めから好転してきた。このためポンド相場が上昇し,イギリス製品の輸出競争力が弱まり,輸入増大と輸出不振とが相まって,1980年11月には失業者が200万人を超えるほどとなった。今後もこのような状態が当分の間続くとみられており,イギリスの81年以降の経済見通しは明るくないようである。

この徴候はエネルギー省が公表したエネルギー需要の推移にも現われており,過去20年間は年間2%程度の増加に留ってほとんど変化がなく,今後のエネルギー需要見通しについても2〜3%の経済成長を前提として微増傾向をたどるとの見通しをたてている。

イギリスにおいては,自由な知的活動すなわち創造性を重視し,それを大きく評価するという思想が根幹として流れており,自由な企業活動の力を最大限に発揮させようとしてきたため,政府は産業技術政策には余り重点を置いていなかった。

イギリスでは一部産業界への積極的な介入ないし支援として国家企業庁(National Enterprise Board:NEB)による国有会社の運営,国家経済発展会議(National Economic Development Council:NEDC)による種々の産業戦略の策定も行われていたが,世界に冠たる基礎研究によってもたらされる技術水準の向上によって,イギリスは,国際競争で生き抜くことが期待できるとの考え方が強く,これが近代的生産技術と現在社会のニーズにマッチした新製品の開発に遅れをとり,イギリスの輸出競争力を低下させる原因のひとつとなっていった。

このような状況にあって,イギリスでは輸出競争力を高めるためには外国企業の誘致や国内の種々の産業技術政策に重点を量く必要性があるなどの認識が生まれ,産業内部を大きく転換,改善しようとする意見や具体的な動きも出てきた。

このような,イギリスの産業界の現状を背景とした同国の科学技術施策,特に基礎研究の成果を産業界で生かす施策を中心に述べることにする。


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