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第1部   世界の中で
第2章  主要先進国の科学技術振興施策
第2節  西ドイツ
1.  研究開発費


1978年の西ドイツの総研究費は,304億マルク(3兆1,900億円)であり日本とほぼ同額である。研究開発部門別の使用割合は,西ドイツ,日本ともほぼ同じ割合であるが,西ドイツの場合は公共部門の負担割合が47%と日本の28%に比して高い率を占めている。西ドイツにおいては,公共部門の負担源は連邦政府と州政府に分かれ,それぞれ,85億マルク(9,000億円),56億マルク(5,900億円)である。


(1) 企業の研究開発活動

企業は自己のプロジェクト及び共同研究のため,1978年研究開発費を193億マルク(2兆200億円)を使用した。このうち,19%は連邦政府が負担している。連邦政府の負担割合は1962年には14%,1970年には16%であったので年々増加する傾向にある。企業の研究開発において重要な役割を演じている産業部門は鉄鋼,機械及び運輸,電子及び精密機械,化学の各部門で1977年には,これだけで全産業の研究開発費の90%を占めている。

また,1977年に企業の研究開発のために投入された政府資金29.3億マルク(3,400億円)の約80%が,特定研究開発プロジェクトを対象として30の大企業に流れている。一方,研究開発能力に欠ける企業が技術の進歩に取り残されないようにするために,産業界において共同研究を行うための機関が設立され,経済省の支援を受け企業に研究開発資金の供給を行っている。例えば,ケルンの「産業研究協会連合会」(AIF)は30の産業分野をカバーする80の産業研究協会からなり,約8,000の中小企業をメンバーとしており,1978年の予算2.69億マルク(282億円)の内22%が政府の補助金である。国の企業に対する研究費に関する助成策としては1)研究開発プロジェクトへの助成,2)投資補助金法に基づく研究開発用施設に要した投資額に対する補助金,3)中小企業の研究者の人件費に対する補助金,4)中小企業の外部機関との契約研究に対する補助金,5)初技術革新促進計画に基づく成功払い融資制度,6)自己資金援助計画に基づくベンチャービジネスの創業に当たっての資金を融資する負担平衡銀行への利子補給等がある。


(2) 大学及び大学以外の研究機関

1978年に大学において使用された研究費は53億マルク(5,500億円)であり,研究対象は主として基礎的分野に置かれている。大学以外の研究機関の研究費は59億マルク(6,100億円)であり,政府の予算及び長期計画に沿って,特に重要な基礎及び応用分野の研究を行っている。1977〜82年の主な研究対象分野は,原子力開発を中心としたエネルギー技術に置かれている。


(3) 研究助成機関

連邦,州,市町村,産業界における直接的研究助成とならんで,財団等各種研究助成機関が西ドイツの研究開発活動において重要な役割をはたしている。これらの助成機関は連邦,州からかなりの資金供給を受けており,業務を分担し,相互に補完し合って研究助成活動を行っている。また,リスクの高い研究をも助成対象とすることができるので,中小企業にとって重要である。このうち最も大きな研究助成機関は「ドイツ研究協会」(DFG,予算7.1億マルク(740億円))で,大学における研究を主たる助成対象としている。

西ドイツでは,このように多様な研究助成機関を設置する等して,資金手当の面でもっと選択の余地を積重ねていくことは,基礎研究を促進するうえで望ましいことであると認識されている。


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