ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3部   政府の施策
第2章  政府機関などにおける研究活動
4.  多分野の協力による研究開発の推進
(4)  海洋開発


海洋は,生物,鉱物,エネルギー等多種多様の資源を包蔵するとともに,広大な空間を有し,その開発利用は重大な課題である。

我が国は,国際的な動きに対し,昭和52年7月に領海12海里及び漁業水域200海里を設定したが,今後,国民福祉の増進,社会経済の発展のためにこの広大な海洋空間及び資源の合理的利用を図っていく必要がある。


(1) 総合的な海洋開発の推進

政府においては,以上のような認識の下に,各般の海洋開発施策を進めている。これらの施策は,まず,関係省庁がそれぞれの行政目的に即して推進しているが,海洋開発に関する基本的かつ総合的事項については,内閣総理大臣の諮問機関である海洋開発審議会が調査審議を行うこととなっている。

昭和53年2月,新海洋秩序時代に対応し,我が国として,海洋開発の長期的展望とそのための具体的施策を改めて検討することの要請が増してきたため,第2号諮問「長期的展望にたつ海洋開発の基本的構想及び推進方策について」が同審議会に対し出された。この諮問に対し,同審議会は,昭和54年8月,西暦2000年の社会・経済における海洋開発の役割と1990年の海洋開発目標を示した第一次答申を提出し,昭和55年1月,第一次答申に示された1990年の具体的目標を達成するための推進方策を示した第二次答申を提出した。


(2) 海洋科学技術の推進

海洋科学技術の総合的推進のために,昭和44年に関係14省庁の官房長等で構成された海洋科学技術開発推進連絡会議が設置されている。本会議では,昭和48年以来,海洋開発審議会第一次答申に基づき,「海洋開発のための科学技術に関する開発計画について-第二次実行計画-」を毎年取りまとめ,これに沿って関係省庁が海洋科学技術開発を実施してきた。昭和54年度からは,海洋開発審議会が新しい答申(第一次答申)を取りまとめたのを契機として,第二次実行計画を「国の海洋科学技術開発の現状と今後の方向-海洋科学技術開発推進計画-」と名称の変更を行い,内容の一新を図った。

本推進計画の特徴は,海洋科学技術の範囲を明確にして実施課題を網羅し,前述の第一次答申に示された1990年の目標を基礎として,約10年先を念頭に置いた計画になっていることである。その他,政府の海洋開発事業の概要,海洋開発推進体制及び海洋科学技術施設を資料として加えている。

この新しい海洋科学技術開発推進計画に沿って実施されている政府の主要な海洋科学技術開発の推進状況は以下の通りである。


(イ) 海洋調査研究

我が国の正確な領海の基線及び外縁線の確定,海洋の開発・利用等に資するため,「沿岸の海の基本図」の整備を進めており,昭和54年度は,若狭湾東部ほか7か所の測量を実施し縮尺5万分の1の海底地形図及び海底地質構造図を刊行した。また,2万5,000分の1の沿岸海域地形図及び沿岸海域土地条件図の作成を進めているが,54年度は,伊予灘等4か所の海底地形,地質調査等を行い,海底地形図及び海底土地条件図を作成した。更に我が国は,深海掘削船を用いて海洋底を掘削し,大洋底の地殻構成,大洋底成立の経緯の解明等を行う「国際深海掘削計画(IPOD)」に参加しており,54年度は52,53年度に行った我が国近海の掘削結果の検討を行った。


(ロ) 基礎共通科学技術

海洋開発審議会は,その答申の中で6,000m潜水可能な有人潜水調査船の建造を指摘している。現在,その中間段階として昭和56年度完成を目途に2,000m潜水調査船システムの建造を進めている。300m潜水作業システムの研究開発では,54年度は,高圧ヘリウムの混合ガス環境下におけるダイバーの医学的研究を主体とした300m相当圧飽和潜水シミュレーション実験を実施した。また,北方氷海域を航行し,北方資源を輸送する船舶を開発するための氷海再現水槽の建設を52年度より4か年計画で進めている。


(ハ) 海洋環境保全技術開発

瀬戸内海の汚濁予測に関する研究については,昭和54年度には大型水理模型実験と数値解析の併用により流入汚濁負荷量と汚染度との関係の解明等を実施した。赤潮対策技術開発試験は,赤潮発生,海域の富栄養化に対処し,漁場の機能回復を図るための技術を体系的に整理するとともに新たな改善技術を緊急に開発することであり,54年度は,養殖いけすの緊急避難技術開発,大型褐藻類を利用した栄養塩吸着試験,残餌の少ない餌料の開発による自家汚染防止試験を実施した。


(ニ) 海洋生物資源開発

資源培養技術開発の分野についてみると,栽培漁業技術開発では,昭和54年度はまだい,がざみ,ぶり等の種苗量産,放流等の技術開発を実施し,道府県が実施している種苗量産,技術研修等に対する助成を行った。

漁場造成技術開発の分野については,沿岸漁場整備開発事業と関連して,浮魚礁の耐久性,集魚効果の試験を実施し,水産工学研究所において模型実験を行う等魚礁設置等についての調査研究を行った。

未利用資源開発の分野については,南極海における母船式おきあみ漁業企業化調査,深海未利用資源の開発調査等を実施した。


(ホ) 海水・海底資源開発

大陸棚石油天然ガス基礎調査では,昭和54年度は,堆積盆地の発達が予想される伊豆七島海域,小笠原諸島海域において,水深2,000mまでの大陸棚斜面についての基礎物理探査を実施した。海底石油生産システムの研究開発では,水深300m以深にある海底油田からの石油生産に有効でかつ我が国周辺海域において適用可能なシステム技術の確立を目標とした研究開発を行っているが,54年度は,サブシステムの模型実験やコンピュータシミュレーション等を行い,システム全体にわたる詳細設計を完成した。深海底に存するマンガン団塊の開発調査については,54年度は,地質調査船「白嶺丸」を用いて,ハワイ南方海域においてマンガン団塊の賦存状況調査を実施し,探査効率の向上を図るため,高速テレビシステムの研究開発を行った。


(ヘ) 海洋エネルギー開発

波エネルギー利用技術開発として,波力発電装置「海明」による海域実験を山形県由良沖で実施した。本実験は,IEA(国際エネルギー機関)の国際共同プロジェクトとして米,英,加,アイルランドの参加によって実施されており,昭和54年度は,定格出力125KWの発電機8基(うち英国1基)を搭載し,陸上送電実験を含む一連の実験を実施した。海洋温度差発電システムの研究については,要素技術とサブシステムについて各種試験,解析等を実施した。


(ト) 海洋空間利用開発

海洋空間利用調査研究として,沿岸域総合利用基礎調査,北部九州沿岸域総合整備計画調査等が行われており,後者では当該沿岸域の基礎データによる自然環境条件図の作成等を実施している。

海洋構造物の合理的な設計のための基礎実験施設として,昭和54年度に大水深海洋構造物実験水槽の整備に着手した。

特定事業実施のため,関西国際空港,東京湾横断道路の調査等が実施されている。前者では最終年度として総合的な評価を行い,後者では予定ルートのボーリング調査等を実施した。


(3) 海洋科学技術センター

我が国の海洋科学技術開発の推進を図るための中核的機関として,官民協力の下で,昭和46年10月,海洋科学技術センターが設立された。

本センターの業務は,第1に,深海潜水調査船の研究開発,潜水作業技術の研究開発,黒潮の開発利用調査研究,海域制御技術の研究開発,新海洋観測システムの研究開発,海洋エネルギー利用の研究開発等のプロジェクトの実施,第2に,水深500mまでの潜水を模擬しうる潜水シミュレータ,高圧実験水槽等の施設の整備・供用,第3に,海洋関係者の研修の実施,第4に,海洋科学技術に関する情報収集提供の実施である。


(4) 海洋科学技術開発予算

第3-2-15表 に我が国の海洋科学技術関連経費予算を, 第3-2-16表 に主要国の海洋開発関連予算を示す。

第3-2-15表 昭和54年度海洋科学技術関連経費予算


第3-2-16表 主要国の海洋開発関連予算



前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ