ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第1部   時代を拓く科学技術
第2章  1980年代科学技術発展の展望
第3節  科学技術推進上の必要事項
2.  国際科学技術協力


世界的な相互依存性が深まるなかで,現在世界はエネルギー,食糧,保健医療,環境等の全地球的規模で生じている様々な問題の解決を必要としている。これら問題に対処するため,エネルギー,宇宙等の先端的科学技術をはじめ,開発途上国の実情と開発目的に合致した分野での国際協力が活発化している。

我が国としては,先端的科学技術分野における研究開発と技術開発能力の向上に資するものとして,相互利益の原則に基づく先進国との科学技術協力を一層推進する必要がある。また,開発途上国との協力においては,科学技術の開発の萌芽の段階からの長期展望に立った協力を拡充することにより,適正技術の開発と活用への開発途上国の自助努力を支援し,開発途上国の科学技術能力の強化を促進することが必要となっている。以下においては,先進国及び開発途上国との科学技術協力について,現在までの経過を概略し,80年代の方向について述べることにする。


(1) 先進国間との科学技術協力

1950年代は我が国の科学技術協力に大きな進展は見られなかったが,1960年代に入って1961年の池田―ケネディ会談における合意に基づき設置された日米科学協力委員会による交流,1964年の天然資源の開発利用に関する日米会議(UJNR)の設置,1968年の日米原子力協力協定の締結,1969年の日米宇宙開発協力交換公文の締結など主として米国との国際協力が進められた。

また,先進国の集まりであり科学技術関係の活動も行っている経済開発協力機構(OECD)にも我が国は,1964年に加盟した。

1970年代には,1974年に締結された日米エネルギー研究開発協力協定の締結のほか,1973年にはソ連との間に,1974年には西独,フランスとの間に科学技術協力協定が結ばれた。

1973年の第1次オイルショックをひとつの契機としてエネルギー研究開発の分野における国際協力が活発に進められるようになり,1974年にはOECDの下に自立機関として国際エネルギー機関(IEA)が設立された。我が国もIEAの設立以降多くのIEA共同プロジェクトに積極的に参加してきている。

また,1979年には,上述の日米エネルギー研究開発協力協定に代えて,より広範囲な分野の緊密な共同研究を実施する目的で新たなエネルギー研究開発協力協定が締結された。

1980年代においては,引き続きエネルギー分野の国際協力活動は活発化することが考えられ,また,エネルギー以外の科学技術分野においても,基礎研究の重要性への認識の高まりに伴い国際協力の一層の活発化と研究の拡充が必要になると考えられる。我が国としても,主要先進国の一員としてこれら先進国との国際協力をより一層推進し,科学技術立国を目指す我が国の技術開発能力の向上に努める必要がある。


(2) 開発途上国との科学技術協力

我が国はこれまで開発途上国との科学技術の分野における協力を積極的に推進してきており,政府ベースにおいては国際協力事業団(JICA)等を通じた研修員の受入れ,専門家の派遣,機材の供与等の技術協力や1970年代初期から始まった関係省庁による開発途上国諸国との間の研究協力等の各種の協力を実施してきた。

また,我が国は国際連合諸機関,アジア科学協力連合(ASCA)等の多国間科学技術協力にも積極的に参加し,開発途上国の経済社会開発にも貢献してきた。

しかしながら先進国の開発途上国への協力にもかかわらず南北格差はますます増大する傾向がみられ,この解決の方向として開発途上国諸国の強い要求に基づいて開発途上国の科学技術能力の強化の必要性が国連をはじめとして多くの国際的な場において議論され,研究協力,科学技術の人材の育成,科学技術情報の流通の促進等の開発途上国との科学技術協力の必要性が世界的な認識として高まってきている。

その一つのエポックが1979年8月にウィーンで開かれた「開発のための科学技術国連会議」(UNCSTD)である。ここでの審議の結果,開発途上国の科学技術能力を強化するために技術移転と開発途上国の人材育成を促進し,科学技術情報システムの整備,開発途上国の科学技術活動への資金援助促進のための科学技術財政システムの設置等を主な内容とし,1970年代の総括を踏まえて80年代の施策を方向づける「開発のための科学技術ウィーン行動計画」が採択され,また,この「ウィーン行動計画」の中で勧告されている政府間委員会,それをサポートする事務局,科学技術財政システムの設立等が同年末の国連総会で決定された。

このような全世界的な動向を踏まえ,80年代には我が国の独自の立場から開発途上国との科学技術協力を今後一層充実させていくとともに,国連などの国際社会の要請を踏まえた協力を遂行していく必要がある。その際,我が国と開発途上国との科学技術の分野における協力は,開発途上国の自立的な経済・社会の発展に寄与し,ひいては世界経済の調和的発展と国際平和に貢献するとの観点から行われなければならない。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ