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第1部   時代を拓く科学技術
第1章  戦後から現在までの科学技術発展の軌跡
第2節  1960年代


1960年代は我が国の経済にとって高度成長の時代であり,開放経済体制へ移行した時代であった。

我が国では1950年代後半から技術革新等により民間企業の設備投資が活発に行われ,生産が拡大しつつあったが,1960年(昭和35年)に発表された国民所得倍増計画等の高度経済成長政策の影響もあり,1960年代には高い成長率を維持し,国民総生産は10年間に約3倍となり,ヨーロッパ各国を抜き米国に次ぎ自由世界第2位となるとともに,1人当たりの国民所得もヨーロッパ各国の水準に近づいた。

一方,国民所得水準が上昇すると,国民の消費支出も変化し,耐久消費財等に対する需要が増大するとともに,食料,被服については,消費支出の多様化がみられるようになった。

また,産業構造を国内生産についてみると,農林水産業の占める割合が1960年(昭和35年)の11%から1970年(昭和45年)には4%に低下し,製造業が42%から50%へ上昇するなど高度化しつつあり,1960年代には重化学工業化が進んだ。

また,これに伴い輸出構造についても,1950年代にその中心であった繊維品が1960年代には急速に後退し,機械類,金属品,化学品といった重化学工業製品が輸出の大宗を占めるなどの変化が現われるとともに,国際競争力も高まった。就業構造については1960年代には第1次産業が大幅に減少し,第2次及び第3次産業が増加した。

このような経済の高度成長,経済の国際化,産業構造,就業構造の変化等を背景として社会経済活動が活発化,広域化するとともに,人,物及び情報の移動量も増大したため,1960年代には輸送及び通信に対する需要が急速に増大した。

なお,1960年代後半にはこのような経済規模の拡大,労働人口の移動による過密等により大気汚染,水質汚濁,騒音,振動等人の健康及び生活環境に悪影響をもたらす公害問題が深刻化しつつあり,環境保全のための研究開発も始められたが,ここでは特に1960年代の高度経済成長を支えた科学技術について,それがどのように進展し,また社会経済にどのような影響を及ぼしたかを概観することにする。


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